門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第74
ブザンソン.

産経新聞の関西版で「偏愛的交遊録」という
月に一度の連載を持っている。
澁澤龍彦さん、稲垣足穂さん、伊丹十三さん、
加藤和彦さんなど交友のあった人々との思い出を綴っている。
その打ち合わせを兼ねてのランチ。

場所は大阪・福島にあるフランス料理店「ブザンソン.」だ。

シェフの柴崎規孝さんは、
神戸の名店「ジャン・ムーラン」を経て
「レストラン ペルージュ」のオープニングスタッフ。
最後は大阪の「ヴレ・ド・ヴレ シェ・ヒロ」で一年間働き、
独立を果たした。実直なタイプで、剛速球を投げ続けてくれる。

この日のランチは3000円のコースをチョイスした。
アミューズにスープである。

冷たい人参は、その甘みが強烈だ。前菜は盛り合わせ。
赤ピーマンをコンソメで炊いてプリン状にしたものに
トマトのジュレがかかる。文句なしに旨い一品である。
新秋刀魚はマリネをする。香りと脂分のバランスが絶妙だ。
「この季節ならではですね」と二人で盛り上がる。
剣先イカはマスタードで味付け。ねっとりと甘さが滲んでくる。
オクラ2種にトマトなど野菜もうれしい。

メインは4種類からのチョイスである。
僕は牛ほほ肉の赤ワイン煮込みとした。

最近、赤ワインの煮込み方法がシェフによってまちまちなので、
その違いが楽しい。
ナイフを入れるとハラリと崩れる柔らかさだが、
ほほ肉は赤ワインでマリネせずに、そのまま4時間ほど煮込み、
そのあと自然に冷めるまで置いておくと、
ワインの味わいや香りが入ってゆくという。
そしてワインを3割ぐらいまで詰めてソースとして仕上げるのだ。
「『ペルージュ』も『ヴレ・ド・ヴレ シェ・ヒロ』も
このやり方でした」とシェフは説明してくれた。
同行者はシャラン産の鴨をオーダーした。

ここにモンブランを一度解体し、再構築したデザートが供される。

「これは値打ちありのコースですね」と
二人で帰り道に感想をもらした。
料理が旨いと会話も弾むということを実感したのであった。

【本日の店舗】
「ブザンソン.」
 大阪市北区大淀南2-6-4サガワビル1F
 06-6451-1811


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2011年10月21日(金)

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