門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第80回
Nuda

今年の春、神戸・元町に登場した
薪焼きレストラン「Nuda(ヌーダ)」は、
いま関西の料理界で話題を集めている飲食店の一つである。

ここはほぼ全ての料理が、薪を使って調理される。
シェフはスペインにある「エチュバリ」
という薪料理店で一年修業をしたのち、
神戸で独立を果たしたのだ。
入口の扉を開くと薫香が漂ってくる。このインパクトが興味深い。


まずイワシが現れた。ほとんど生に近い状態なのだが、
ほんのり温かく煙の香りがする。

ここで「うっ」と驚いたところで、次のバターが供される。

これは料理である。バターも見事に煙の香りが入っている。
野菜と一緒に食べると、また旨みが強固となり、
不思議な世界が広がってゆくのである。


足赤海老はわりと火が入っている。



生チョリソは皮のないチョリソ。ポレンタとの相性よし。

これもかすかに煙の香り。


シラスにも煙はしっかり付着している。
この煙の香りの強弱によって、料理を組み立てる。
ややもすれば単調となりがちな世界だが、
それを巧みに使いこなすからこそ、
コースで味わう醍醐味が生まれてくるというもの。


メインは4週間ドライエイジングさせた牛肉である。

ここでもしっかり煙を感じる。また火の入れ方が、
ぎりぎりのラインだが、ドライエイジングのおかげか、
旨みの凝縮度はかなりのものである。
赤身を噛む楽しみが見出せる料理ともいえる。


最後のデザートまでも面白い。

ブリオッシュにサルナシの実。そこにアイスクリームである。
このアイスクリームも強力な煙の香りが忍ばせてある。
同行者は「これがいちばん煙の香り、凄かったなあ」
と喜びながら話していた。


狭い厨房でシェフは薪と格闘しながら料理を作る。
以前なら、薪で焼いただけの料理と評されるようなメニューである。
しかし、それが立派に料理として通用する。
だからこそ、変化し進化し成長を続けてゆくのだ。


【本日の店舗】
「Nuda」
 兵庫県神戸市中央区元町通3-4-15
 078-335-1077


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2011年11月11日(金)

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