門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第83回
珈琲豆蔵

奈良でずっと訪れたいコーヒー店があった。
その名は「珈琲豆蔵」という。

この店は、
奈良の素晴らしい蕎麦屋「玄」の店主・島崎さんに教えてもらった。
かなり前のことだ。

奈良フードフェスティバルがあり、
その休憩時間に車を走らせ駆けつけた。
店頭に車を一旦止め、
マスターの北村寛さんに駐車場の位置を聞く。
すると「中に、玄さん、おられますよ」とのコメントも。
島崎さんとは時おり電話で話をするが、
会うのは久しぶりだ。
それも「珈琲豆蔵」でとは、驚くのと同時に縁を感じた。
島崎さんは帰る間際であったが、再びテーブルに座り直した。


コーヒーはまずマンデリンを頂く。

これは僕の流儀のようなものだ。
焙煎具合、濃度、苦みの出し方など、
僕の中にマンデリンのスタンダードがある。
それを基軸として飲むのだ。
ここのマンデリンは、
やや軽く感じるが極めてレベルの高い味わいだ。
なにせ、とことん深煎りを好みとするので、
仕方ないことかもしれない。


小腹のすきを抑えるためにフレンチトーストをオーダーする。

卵をたっぷり吸い込み、
ふんわり仕上がったトーストにハチミツがかかる。
甘さが魅力となる。濃いコーヒーとは絶妙の相性だ。


じつはマスターが最初にすすめてくれたのはブレンドで
「こくきれ」だ。
2杯目はそのブレンドをお願いした。

「こくにが」というのもあったが、
それはベースがマンデリンなので味わいがかぶる。
この「こくにが」の香りと苦み、
酸味のバランスは流石と唸ってしまった。
雑味はまったくなく、
たしかにコクがあるのに軽やかなキレがある。
喉を通るときに心地がよいのだ。
舌や喉が素直に喜んでいるのが分かる。


昼下がりに訪れたのだが、
島崎さんがおられなかったとしても充分に楽しく、
かつゆったりとした時間が流れてゆくはずだ。
住宅街の中にあり、
すこし隠れ家的な要素も含んだ「珈琲豆蔵」は
奈良で貴重な一軒となった。


【本日の店舗】
「珈琲豆蔵」
 奈良市法蓮町972-1
 0742-20-2666


←前回記事へ

2011年11月22日(火)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ