門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第88回
神戸元町別館牡丹園

関西人にとって神戸は中華料理の街という印象が強い。
もちろん南京町がそのイメージを牽引しているが、
じつは街の各所に中華料理店が点在する都市なのである。

その中でも、僕がよく足を運ぶのは
元町駅と元町商店街のちょうど中間地点にある
「神戸元町別館牡丹園」だ。
ここは一人でふらりと訪ね、
海鮮焼きそば一品でも十分満足がゆけば、
何名か揃えてコース料理をオーダーしても、
かなりの充足感を得ることができる料理店なのである。
つい先日も合計10名ほど(料理人も半数)で
2階の個室で食事をとる機会をもった。
円卓に前菜がずらりと並ぶ。


なかでも皮付きの焼豚は、
皮のカリッとした食感と
身の部分の脂感や旨みのバランスが素晴らしく
「これはなかなか他では食べられないな」などという声が飛ぶ。



ピータンも同様。
やわらかさやぬめり感などが独特で、
時にはやや甘みのある生姜が付くこともある。



そしてこの季節ならではの蟹身の卵白とじもおすすめ。
ふんわりした口当たりに蟹の旨さと
スープの上品さとのマッチングも忘れがたい。



また、僕がこよなく愛するカキのお好み焼きである。

これを初めて食べた時の感動は、
いまも脳裏にしっかり刻み込まれている。
日本のお好み焼きとは一線を画く。
生地に細かく砕いたカキを混ぜ込む。
だから生地からもカキの味わいを感じることができる。
そこにカキの身を入れるのだから
ダブルでカキの味わいが濃厚となるのだ。
「前からこれは食べたかった」という料理人も多い。

「決して、俺は新しい料理をすることはないのや。
きっちりと昔ながらの仕事を守ってゆくのが俺の仕事」
と二代目の王泰漢さんはきっぱりと言い切る。
それを実行する厨房スタッフの結束と、
技術の集積・継承がみごとなくらいにうまくいっている。
すでに三代目も厨房で働き、
今後の展開がじつに愉しみとなっている。


【本日の店舗】
「神戸元町別館牡丹園」
 兵庫県神戸市中央区元町通1-11
 078-331-5790


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2011年12月9日(金)

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