門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第91回
ノンクランテ

静岡の奥座敷といわれる油山温泉から
関西に帰る途中に立ち寄った浜松のコーヒー店「ノンクランテ」。

住宅街の中に突如三角屋根の建物が登場する。
店名はイタリア語で「気軽に」という意味。


ドアを開けるとコーヒー豆がずらりと並ぶ。
それを横目にカウンターに腰を落ち着ける。



メニューを開くと「カルモシモサカ」がある。
これはブラジルに渡って50年の下坂匡さんが育てた豆のこと。



いままで何軒かのコーヒー店で飲んだ。
同行のカメラマンは、
入口の黒板に書いてあった「トミオフクダ」を注文した。
ペーパーフィルターで丁寧に淹れる姿を見るのは愉しいものだ。



カルモシモサカのすっきりとした味わいはピュアな感じを覚える。
じつにきれいなコーヒーである。
一方、トミオフクダはやわらかな苦みがあり、
そのなかにかすかな甘みがあるタイプ。
これは結構僕の好みに近い味わいだ。

「豆を買って帰る」と、僕は豆を見に行き驚いた。
なんとそこに並んでいた豆は全て生豆であった。
「すべて注文を聞いてから焙煎します」とのこと。
そんなコーヒー店は初めてである。
完熟カルモシモサカとマンデリンをオーダーした。
時間経過による温度調整や、
焙煎時間など全て情報をインプットすれば焙煎が可能となる。
「自分なりのデータを作り上げ、
豆の種類によって変えてゆきます」と。


実際の作業を見ていると、
たしかに豆が時間経過とともに色づいてゆく。

だいたい3〜4分の間で焙煎が完成する。
奥には一般的な焙煎機もあるのだが
「奥のものは大量に焙煎するときに使いますが、
お客さまのご注文はそんなに大量ではありません。
できるだけ焙煎したばかりの豆をお渡しするように、
この機械を入れました」とのこと。
なるほど。これは一つの方向性を示しているかもしれない。


最後にエスプレッソを一杯飲んだ。

これが旨い。こんな出会いも、旅の愉しみの一つだ。


【本日の店舗】
「ノンクランテ」
 浜松市中区富塚町1618-120
 053-473-0848


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2011年12月20日(火)

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