門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第94回
河久

京都で約40年近く通い続けている店がある。
その名は「河久(かわひさ)」という。
現在は2代目・浅見晶男さんと父親にして
初代の浅見亘男さんが店を取り仕切る。
それぞれの奥様が女将・若女将として
接客に当たるというスタイルは、
こちらに安心感を与えてくれる。
「河久」は「河繁」の次男坊が起こした店だ。
この「河繁」は京都の割烹の魁といわれる数軒のうちの一軒である。
そこを長男が継ぎ、次男はホテルで洋食の修業を重ね、
独立を果たしたという経緯なのだ。
そこに実家の技が加わる。
和洋折衷という料理を早くから供してした。

僕は高校時代、友人の父親に連れていってもらった。
小さなカウンターのみで、
当時は頻繁に出前というか仕出が旺盛な時代であった。
そのスタイルに憧れ、背伸びをして通った店である。

現在は川床も設え、立派な料理店となった。
しかし、素晴らしいのはメニューがほとんど変わらないところだ。
もちろん、メニュー名が変わらないだけで、
味わいは時代の変化に応じてブラッシュアップされている。

この日は、フランス人を含む6名で、
新しいプロジェクトの
キックオフ・ミーティングが終わったあとの食事会であった。
メニューのチョイスを任された。
どうしても、いつも僕が食べているものをチョイスしてしまう。


名物でもある春巻きと鶏唐揚げ。
春巻きは中に牛ミンチが詰まっている。



そして鴨ロースだ。
この見事な火入れ。旨みがそのまま味わえる。



牛肉の南蛮焼という献立。
これはネギに牛肉を巻き塩・コショウで味をつけ焼き上げる。
ネギの甘さと牛肉の旨みの素敵なコラボレーションとなっている。

フグの薄造りには、フランス人も感動しパクパク食していた。
「ぽん酢も素晴らしい」とのコメントであった。


ビーフコロッケ、ビーフシチューという肉メニューで締めたが、
後者のソースと牛肉のやわらかさには
「ナイス!」との言葉をもらった。


日本の洋食は世界に通用するメニューであると確信した。


【本日の店舗】
「河久」
 京都市中京区木屋町通御池下ル上大阪町518
 075-211-0888


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2011年12月30日(金)

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