門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第100回
李休

男が10人集まって「肉を喰おう」ということになった。
店の選択を任された。
メンバーは料理人が半数で、あとは食いしん坊。
みんなの顔ぶれを思うと
「最近焼肉を食べていない」という感じがする。
そこで思い出したのが、大阪・千日前にある「李休」だ。
ここは数年前に「イカリン」
という関西焼肉女王と一緒に行って以来である。

テーブル席に5名ずつ別れて座る。
僕のテーブルはフレンチ、和食、焼き鳥の料理人と
ワインアドバイザーだ。


まず、ヘレ、厚切りタン、ツラミ、タンもと、塩タンと出た。

さあ、誰が焼きを担当するのか。
フレンチの料理人が焼くことになった。
牛肉の温度はどの程度か。網は十分熱くなっているのか。
塩の振り加減は大丈夫なのか。
チェックポイントがいくつか入り、いざ焼き始めた。

「脂があればあるほど焼いたほうがいいね」
と焼き鳥職人が言葉をはさむ。
フレンチの料理人は、一つひとつ丁寧に場所を動かしながら、
5切れ均等に火が入るように心がける。その動きが見事だ。


厚切りタンを食べた。

僕が自分で焼くより、はるかに火が入っている。旨い。
「これだけ表面が焼けていても、中はまだまだやね」と。
確かに肉汁の閉じ込め具合が違う。
つまり歯を入れた時の肉汁の弾け度合いが圧倒的に凄い。


上ハラミ、カイノミ、メガネ(骨盤の回り)。
そして肥後牛のオッパイ、脂付き心臓、上ミノと続く。


タレか塩かという論議も始まる。
塩で焼き、タレにつけたほうが牛肉の味が明確になるのでは、
という意見も出る。とにかく議論が尽きないのだ。


塩バラとアゴ塩で締めることになった。

「李休」のコース仕立ては、
部位の選択、塩、タレのチョイスなど、
じつに工夫が凝らされていて、みんな満足状態であった。

今回は、いかに「焼く」ということが、
牛肉の旨みや、部位ならではの特徴を引き出す最重要課題だと、
再確認した。貴重な体験であった。

【本日の店舗紹介】
「李休」
 大阪市中央区千日前2-6-3 2F
 06-6649-2929


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2012年1月20日(金)

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