門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第102
ステーキ くいしんぼー山中

昨秋、雑誌「あまから手帖」でハンバーグ特集を組んだ。
その時に一番人気であったのが、
京都・桂にある「くいしんぼー山中」のそれであった。

この店は、ステーキハウスだ。
つまり常にいい状態の牛肉が用意されているのだ。

ご主人の山中康司さんは、
牛肉を心から愛している料理人だ。
「ちゃんと育てた牛は、ホントに良い香りもするし、旨いんですわ。
けど、きちんと育てている人が、
ホントに少のうなってしまったんです」といつも熱く語る。
「昔の日本の牛は、なににしても美味しかったんです」
とも付け加えてくれた。
ここは健康に育てられた但馬産の近江牛を使う。


ハンバーグである。

健康に育てられた牛は、色合いが小豆色だ。
ピンクの霜降りとは一線を画した艶とねばりがある。
それをミンチ状にして成形する。
ここのハンバーグは、
ドーナツ形なので真ん中に円形の空間がある。
まず、フライパンで表面をサッと焼く。
それをバットに置き、真ん中に生卵を入れ、
オーブンで焼き上げる。
焼きあがると、そこにデミグラスソースをかけて完成だ。

ナイフを入れると、肉汁がどっと溢れてくる。
一口食す。牛肉の香りが鮮烈。コクがあるのだ。
食べ進むにつれ、旨みが積み重なってくる。


卵を潰すと、まろやかさが加わり、
また異なる美味しさを味わうことができる。

また贅沢なドミグラスソース。
これだけでも十分に白いご飯が食べられると思っていると、
山中さんが「ご飯をソースに移して
ぐちゃぐちゃとして食べてもらうと美味しいですよ」
と言葉をかけてくれた。


その通りにした。

ドミグラスソースまみれのご飯がどれだけ旨いことか。
これはなんとも秀逸な食し方である。
店名通りに「くいしんぼー」を実践した感じである。

牛肉にかける情熱は、誰にも負けないという自負があり、
それを常に自らに言い聞かせ、
健康で安全な食事を提供することが山中さんのモットーだ。
この料理を味わえる幸せというか価値は素晴らしいものがある。

【本日の店舗紹介】
「ステーキ くいしんぼー山中」
 京都市西京区御陵溝浦町26-26
 075-392-3745


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2012年1月27日(金)

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