門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第104
KEZAKO

京都にあるフランス料理店「KEZAKO」のシェフ、
ステファン・パンテルさんは、日本語を巧みに操る料理人だ。

言葉だけでなく、食べ手に対する気の使い方、
ユーモアのセンスなどかゆいところに手が届くという感じなのだ。

京料理の料理人とも交流が深く、
大原の朝市(日曜日毎に市が立ち、
そこに京都の料理人が集まる)にもレギュラーで顔を出す。
そこで多くの生産者とも知り合い、
野菜などを農家から直接仕入れるルートを確立した。

ある冬のメニュー。アミューズとして登場した
信州サーモンの料理。

「2日間、真空パックで梅酒と白ワインで漬け込んだよ。
下には蕎麦粉のブリニ。
そして塩昆布風味のクリームつけた」との説明。
梅酒や塩昆布という和の食材を、
シェフはニュートラルな視線で捉える。
まったく違和感なく一皿の料理のなかで
和の食材が生きてくるのだ。


続いての一皿がここのスペシャリテ。
奈良漬を巻いたフォアグラのコンフィである。

「奈良漬を食べたときに、
これは絶対にフォアグラと合うと思ったね。
オープン当初だけのメニューと考えていたのですが、
人気なので定番になってしまいました」と。
奈良漬とフォアグラだけでも、
そのハーモニーは見事だが、
そこに南国のフルーツを生かしたソースが加わることで、
より一体感が高まってくるのだ。
フルーツの甘みと酸味がいい働きをする。
奈良漬を一つの新鮮な食材、
もしくは調味料として考えた結果といえる。


魚料理では干しハタを使う。

車エビのラビオリなどが付け合せとなるが、
ソースには香りづけで山椒のオイルがかかる。
ここで料理の印象は大きく変わる。

フランス人の感性と、
料理人ならではの独特の考え方が見事に融合し、
ステファンさんのフランス料理が出来上がったのだ。
それがよりブラッシュアップされ、
また多くの新しい食材との出会いがあり、
「KEZAKO」の世界はますます広がりをみせているのだ。


【本日の店舗紹介】

「KEZAKO」
 京都市東山区祇園町570-261
 075-533-6801


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2012年2月3日(金)

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