門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第105回
御多福珈琲

京都・寺町四条下ルの「御多福珈琲」。

店名がすでにユニークである。
寺町通りに面しており、地階に降りる。
カウンターとソファ席があり、
この日はカウンターに落ち着いた。
カウンター席の楽しみは、
コーヒー職人の仕事を眺めることができること。


そこにはロゴマーク入りの徳用燐寸。レトロ感がなんともいい。


コーヒーのオーダーが入る。
スタッフがミルで豆を挽き、ペーパードリップに粉を入れる。
そしてケトルから湯を注ぐ。

この行為は、どのコーヒー店も同じだが、
豆の選択、挽く粗さ、分量、ペーパードリップの形、
注ぐ湯の温度、スピードなどは各店の個性が現れるのだ。
ここはやや粗めの挽き方だ。湯の温度も結構熱そうである。
スピードも早い。コーヒー豆の膨れ具合はじつに美しい。
香りがカウンター越しに漂ってくる。気分が高まる。


僕はブレンドコーヒーを飲んだ。

かなり濃い目の香りと味わいだ。苦みが勝っているタイプ。
時間の経過で温度が下がる。
味わいが少しずつだがマイルドになってゆく。
一見普通に見えるコーヒーだが、その奥行は相当に深い。


同行者はカフェオレとプリンを注文した。


「これはおいしい」と評価した。
そしてプリンの味わいを聞くと
「懐かしいプリンの味です」との答えが返ってきた。
懐かしい、という形容詞に惹かれオーダー。
カラメル状の色合いと苦みと甘みの美しい結合がポイントである。
ホントに懐かしい味わいだ。これはクセになりそうである。
こんなプリンを食べることができるのは幸せなことだ。

この「御多福珈琲」の客席を埋める人たちの年齢層は、かなり広い。
女性が一人思索に耽っているかと思えば、
熟年カップルがいたり、その人間ウォッチングも面白い。

オーナーである野田敦司さんのコーヒー店人生は
屋台の出張コーヒー屋から始まった。
今も月に一度は
「知恩院・百万遍さんの手づくり市」に出店しているのだそう。


【本日の店舗紹介】

「御多福珈琲」
 京都市下京区寺町通四条下ル貞安前之町609 コロナビルB1F
 075-256-6788


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2012年2月7日(火)

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