門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第110回
烈志笑魚油 麺香房 三く

大阪のラーメン業界は燃えている。
独自の路線を突っ走る期待の新人が集まっているのが福島駅界隈だ。
すでに行列が並ぶ人気店も登場である。

昨年7月に開店した「三(さん)く」も
その一画に食い込んできた。
店頭ののぼりに「烈志笑魚油(れっししょうゆ)」と書いてある。

魚介系ということが想像できる。
扉を開け店内に足を踏み入れると、
驚くのは流れる音楽の音質の良さである。
棚を見ると、およそラーメン屋では考えられない
オーディオ装置がセットされていた。
それだけで、ここの店主の嗜好に嬉しくなってしまう。

この時はランチであった。
僕はつけ麺(全粒粉)と角煮ごはんのセットを頼む。
同行者はかけラーメンである。
「つけ麺ができるまで約15分ほどかかります」との説明があった。


まず角煮ごはんを食べる。

角煮はじつに柔らかな食感で、
その濃厚な味わいと白ご飯の相性がぴったり。
なんだか気持ちがほっとした。贅沢な気分だ。


そしてつけ麺のつけだれが出てきた。
見るからに濃さが想像できる。


続いて麺が登場。

これが傑作である。一目でその太さに驚いてしまう。
粒状の斑点がある。全粒粉だと麺が物語っている。
香りは小麦粉だ。まずはそのまま口に含む。
初めての食感である。ややもぞもぞとするぐらいに太さがある。
粉っぽさも幾分感じる。
だが、つけだれにつけるとその粉っぽさが一気に消え失せ、
麺の旨みとたれの味わいが渾然一体となってゆく。
魚系の味が強いが、鶏や豚など動物系の味もしっかりとしており、
そのバランスの良さがいい。
喉越しの旨みも十分感じる。
これまで大阪では味わったことのないつけ麺と感じた。

一方、同行者のかけラーメンは、
煮干しなど魚介系の味が強い一杯であった。
どちらにしても、大阪のラーメン業界に、
新たな風を吹き込んでくれる存在になるはずだと感じた。

音楽もそうだが、主の好みを妥協することなくどこまで走るかが、
今後楽しみなところである。


【本日の店舗紹介】
「烈志笑魚油 麺香房 三く」
 大阪市福島区福島2-6-5 AKパレス1F
 06-6451-4115


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2012年2月24日(金)

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