門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第111回
さんさか

最近、京都に新鋭のコーヒー店が続々と現れる。
なかでもエスプレッソを標榜する店が
増えているのも大きな流れだ。

コーヒーはあくまで嗜好品である。
煎り方や酸味、苦みの具合など、
最終的には個人の好みが最優先される。


京都は御池間之町を上がったところに「さんさか」はある。
外には「COFFEE BOOKS」そして
「ネルドリップ珈琲」と書いてある。


店内に入るとコーヒー店なのだが、書架があり、
そこには種々の本や雑誌が並んでいる。

町田康、西加奈子、川上弘美など、
じつに今の時代を表現する作家の名前が目に飛び込んでくる。

「さんさか」という店名はどんな意味ですかと尋ねると
「山茶花」の音読み、という答えが返ってきた。
なるほど、そういう意味なのかと納得である。


コーヒーは「オリジナル」を注文した。

オリジナルはタンザニアの深煎り。
ここで面白いのは、濃い目、レギュラー、
デミタスと抽出する量を選択することができる。
それぞれ120cc、90cc、50ccとなる。初回はレギュラーにした。
苦みがまず口の中に広がり、
最後にふっと甘みを感じることとなる。
予想は酸味もしっかりあるのかと思っていたが、
それよりコクがあった。
そして非常にかろやかできれいな飲みくちであった。

メニューを見ると、トーストの説明に
バターを塗って2度焼くとある。
僕にとって、これは好みの焼き方だ。


届いたトーストは思っていたより厚みもしっかりあった。

ジャムを塗ると、またその旨さが倍増するので、
嬉しくなってしまった。

とてもこじんまりとした空間で、
書架には好きな作家の作品が並び、
コーヒーもクリアできれいな味わいといえる。
書架から本を取り出し、じっくり読むのもいい。
また持ち込んだ本に目を落とすのもいいだろう。
時には仲間に手紙を書くのもよしだ。
そんな気分にさせてくれる一軒である。


【本日の店舗紹介】
「さんさか」
 京都市中京区間之町通御池上ル高田町500ポポラーレ御池 1F
 075-241-2710


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2012年2月28日(火)

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