門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第136回
グリル生研会館

京都に何軒か好きな洋食店がある。
かつて洋食屋は、花街の中、もしくは近くにあったものだ。
お茶屋でご飯を食べる。
いつも和食では変化がないので、洋食屋が必要となってくる。
その名残が、花街の洋食屋だ。

ここ「生研会館」は、花街とは離れたところに
忽然と存在する一軒で、僕がときおり尋ねたくなる洋食屋である。
さて「生研」の正式名は生産開発科学研究所。
この施設に併設した食堂が、
いつのまにか一般客を受け入れるようになり、
「グリル生研会館」として次第に評判を高めていったのだ。

店内は食堂に近い感じで、カジュアルな雰囲気が漂っている。
そして訪れる人達も近隣の住民から、
遠くからここの味を求めてやってくる人など、じつに多彩である。
それが独特の空気感を生み出しているのが素敵だ。
また、ここは家族経営である。
お客へのもてなしの気持ちが、
店内にあふれているのもうれしい限りである。

この日はハンバーグとエビフライという洋食の黄金セットを注文。
一皿にしっかり盛り込まれたこのセット。
俵型のハンバーグにはドミグラスソース、
エビフライにタルタルソースという
洋食の定番がきちんとかかっている。
この姿を見るだけで、洋食ファンは安心感を覚えるのである。

ハンバーグはナイフを入れると肉汁が飛び出す。
それとドミグラスソースの見事な出会い。
エビフライとタルタルも同様の感動を呼ぶ。
そしてサラダ。やや甘めのドレッシングがかかる。
これもうれしいスタイル。

洋食は白ご飯との相性で、
その評価が定まると言っても過言ではないと思う。
ここでは、そんな日本人の気持ちを理解してか、
付けあわせにピクルスではなく、
漬物が用意されているのが素晴らしいところだ。


ラッキョやキュウリの漬物など、
ご飯をよりおいしく食べてもらいたいという意志が、伝わってくる。

これもまた京都らしい風景かもしれない。

【本日の店舗紹介】
「グリル生研会館」
京都市左京区下鴨森本町15 生産開発科学研究所ビル1F
075-721-2933 


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2012年5月25日(金)

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