門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第144回
エッサンシエル

この春、「アラン・デュカス」の
「ル・コントワール・ド・ブノワ 大阪」の大東和彦シェフが
独立を果たした。
場所は大阪・北浜で、店名は「エッサンシエル」である。

基本はカウンター席。
その中で大東シェフは、まるで俳優のように調理をし、
スタッフに指示を送る。
まさに一つの舞台を見ているかのような光景だ。
シェフ曰く、キワードは「削ぎ取る美」である。
フランス料理は足し算、日本料理は引き算と称される。
ここではフレンチの世界や文化を、
日本の職人技で作らえた器に盛ったり、
箸を使うなど日本ならではの美学を持ち込み、
あえて引き算の世界を構築かつ演出することになった。
つまり「日本におけるフランス料理」の
新たなプレゼンテーションである。

この日はコーヒー、デザートまで含む10皿の構成であった。


最初の一皿には生ハム・イチゴ・フロマージュフレと
小さな料理が3つ盛られた。

次は鮎のコンフィでドライトマト、ミントなどと一緒に食べる。


そして春野菜を鶏のブイヨンで火入れし、
シェリービネガーで味を調える。
ここまで小皿が並ぶ。次のプレゼンテーションが素晴らしかった。

鯛の塩釜包み焼きである。


鯛を昆布で巻き、塩で包む。
見た目にも迫力があり、
それを目前で取り分けるパフォーマンスも楽しめる。
こういったカウンターならではの動きを
見ることができるのも特徴である。

次は一転してフォアグラのサンドイッチときた。
フィンガーフードである。
ハチミツをきかせたフィナンシェ生地で
フォアグラをサンドして手で食べる。


これは旨い。そんな強弱の付け方も見事だ。

締めの料理に「豚足をご用意しました」という
チャレンジスピリッツにも拍手である。

開店してまだ4ヶ月弱だ。
これからいろいろな食べ手が集い、
そこで種々のコミュニケーションが生まれ
大東和彦シェフの
「エッサンシエル」が確立されてゆくのだ。


【本日の店舗紹介】

「エッサンシエル」
 大阪市中央区北浜1-1-28ビルマビル北浜7F
 06-4963-3767


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2012年6月22日(金)

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