門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第151
ブラジレイロ

九州・博多はコーヒー店の多い街という印象が強い。
博多へ行くたびに、刺激的なコーヒー店に出会う。
この「ブラジレイロ」もその一軒だ。

表には「自家焙煎の珈琲と手作り洋食」と書かれた看板がある。
そのデザインもなかなか可愛い。
1階はカウンターとテーブル。2階はテーブル。
1階のテーブル席に座り、僕はグァテマラ、
友人はハイチとトーストを頼んだ。


テーブルに届いたトーストを見てびっくりである。

まるでハンバーガーのバンズのようなスタイル。
「やわらかい、よかったら半分いかがですか」と。
食すと確かにやわらかくほのかな甘みがある。
意外な感じがしたが、コーヒーとの相性はいい。


僕のグァテマラは、香ばしさと適度な苦みがあり、
あとからじんわり甘みを感じさせる好みの一杯であった。

グァテマラやハイチはスペシャリティコーヒーと分類され、
双方ポットサービス。
したがって二杯目は、
付いてきたホイップクリームを入れ飲むことにした。
クリームの脂分が溶け、まろやかさとコクを生み出す。

1階の奥に小さなガスの焙煎機がある。
「これで焙煎されているのですか」と聞くと
「ストレートだけはこれでしています。
ブレンドは別の場所に大きな焙煎機があります」とのことだ。


年季の入った「ブラジレイロ」と書かれたステッカーに
東京、大阪、京都、神戸、福岡という文字があったので、
そのことに触れると
「大阪が本社でブラジル珈琲という
コーヒー豆の販売をしていた会社だったのですが、
いまはここだけです」と話し
「2階に昔の写真があります」と付け加えてくれた。

2階に上がると
古い写真となんとも懐かしいポスターが掲示されていた。
イラストレーションだが、
非常に洒落た雰囲気を漂わせる一枚であった。
1934という年号が入る。
つまりここは昭和9年創業だ。
ちなみに「ブラジレイロ」とは
ポルトガル語でブラジル人を指す男性名詞だそうだ。
女性名詞は「ブラジレラ」と呼ぶらしい。


【本日の店舗紹介】

「ブラジレイロ」
 福岡市博多区店屋町1-20
 092-271-0021


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2012年7月17日(火)

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