門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第153回
ROASTERS CAFE MANO+MANO

店に入ると、テーブルの後ろに
JBLのスピーカーが置かれている。
横にはLPがどっさり並ぶ。
コーヒー関連の雑誌もかなりあるが、
そこに山崎豊子さんの小説があったりして、
なんだかうれしくなってしまった。

カウンターの後ろには、
コーヒーの抽出器具が種々並んでいる。
同行のカメラマンはブレンドを、
僕はスペシャルティのグァテマラを選んだ。


「ブレンドは金属フィルターで、
スペシャルティはエアロ・プレスで淹れます」と
マスターの増田さん。

エアロ・プレスを見るのは初めてである。
カウンター越しに、金属フィルター、
エアロ・プレスを眺めながらマスターと話す。

「金属フィルターはペーパーよりコーヒーの脂分が抽出されます。
エアロもやりかたは色々あるのですが、
2分ぐらい置いて、あとはプレスします」と。


エアロ・プレスのグァテマラは、
フレンチプレスほどコーヒーの脂分や雑味が入ることなく、
むしろすっきりした飲みくちであった。

しかし、どこかにフルーティーな香りを感じる。
「僕はプロですから、豆の焙煎によっていろんな淹れ方をします。
でも、日本のコーヒーはやっぱりネルドリップが
いちばんおいしいかもしれません」とも話してくれた。

マスターは学校を卒業後、
福岡の小さなコーヒー豆の卸問屋に勤め、
その後、親戚と二人で自家焙煎の豆販売を15年ほど経験した。
「福岡にイタリアンやフレンチの店ができ、
エスプレッソの豆の注文が入ったんです。
それまでエスプレッソをほとんど飲んだことがなく、
あわてて勉強し、イタリアンローストの豆を売ってました。
その頃、豆の商社がシアトルに連れていってくれたのです。
そこで飲んだエスプレッソ、見た豆に驚き、
いったい自分はなにをしていたのだろうと思いました」と。
そして帰国後、
ロースターとエスプレッソを出す店を始めたという。
いわば福岡のカフェの先駆けでもあり、
いまも常に進化を続ける一軒なのである。


【本日の店舗紹介】

「ROASTERS CAFE MANO+MANO(ロースターズカフェ マノマノ)」
福岡市中央区天神5-6-13


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2012年7月24日(火)

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