門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第154回
おがわ

京都・堀川通北山西に「おがわ」という蕎麦屋がある。
一昨年前まで北山東に友人が住んでいて、
この店を贔屓にしていた。
彼に教えてもらい初めて訪れたのは、7〜8年前のことだ。
木を上手く使い、京都の町家を見事にリノベーションした店内は、
旧いがどこか新しい香りが漂っている。
店主は脱サラ組で、「翁」「達磨」で修業を重ねたのち
2003年この地で暖簾を掲げたのだ。

ざる蕎麦をいつも食すのだが、
季節によって限定の蕎麦が出る。
これからの季節は賀茂トマト、キュウリ、
小夏、アボカドなどをつかった夏そばが供される。
これはさっぱりとしており、
酸味と果実の甘みもほどよく感じられる逸品である。

蕎麦屋は、昼間のイメージが強いが、
ここ「おがわ」では夜のお決まりコースがある。
まずは有明で取れた焼き海苔がでてくる。
香りがすごくいい。


続いて焼き味噌だ。

ふくよかな味噌の味わいに、左党はたまらなく反応するだろう。
酒に強くない僕でも、これなら猪口に一口という気分になる。


そしてだし巻きの登場。

ますます左党には、刺激を与えてくれる。
だしをたっぷり含んだ卵は、日本人の心に響く。


次は季節によって異なるが鴨の塩焼きである。
どんどん杯が空いてゆくはずだ。
酒飲みの心をつかむ組み立てといえる。


そして締めの蕎麦は、ざる、かけ、釜揚げからの選択となる。
僕はざるを選んだ。

繊細にして、キレがあり、かつ荒々しさも感じる。
蕎麦粉の香りも申し分ない。
これですっきり、蕎麦を食べたという気持ちが満たされる。


おっと、最後に現れたそばがきぜんざいには驚倒したのであった。

僕はそばがきが好きである。
そこに小豆が加わる。
好物の饗宴だ。
そばがきの柔らかさと、
蕎麦の香りと味わいのなんともいえない凝縮感。
適度な小豆の甘みがまた素晴らしい。
これなら左党でも十分納得する一品である。

コース仕立の醍醐味を満喫したのである。


【本日の店舗紹介】

「おがわ」
京都市北区紫竹下芝本町25
075-495-8281


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2012年7月27日(金)

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