門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第155回
アサノ珈琲

昨年末、事務所を大阪・堂島から平野町に引越しして以来
ずっと気になっていたコーヒー店がある。
三休橋筋に面する「アサノ珈琲」。

じつは先月にFacebookで店主の浅野文章さんとつながった。
これはいい機会だと昼下がりに訪れた。

カウンターに1人座る。
ここはストレートの豆を選ぶのではなく、
すべてブレンドである。
というのは「自分が思う味に作りあげてゆくには、
どんな豆を組み合わせてゆくかなんです。
だからすべてのコーヒーをブレンドで仕上げています」
という理由からだ。
僕は深煎りが好きなので、濃いタイプをお願いする。


カウンターに届いたコーヒーは、
見るからに濃厚そうな輝きを放っている。

漆黒とまではいわないまでも、相当に色合いも深い。
香りも苦味を想起させてくれる。
一口、含むと重さを感じるような気分で、
その後に苦味と舌を覆い尽くす味わいがずしりとやってくる。
たしかに、これはいままで飲んだ濃いタイプでは
かなり上位にランキングされると思った。


そしてドーナツも注文した。
これも浅野さんが一つひとつ丁寧に作り上げた一品である。
カリッとした食感に、適度な甘みを呈する。
これが濃いコーヒーとの相性が素晴らしいのだ。
このドーナツも傑作。

コーヒーを飲みながらFacebookのことから
コーヒーの話題へ広がってゆく。
堂島に事務所があったことを話すと
「あのあたりにある、とあるコーヒー店を開店させたのは、
僕だったのです」と。
前職はコーヒーチェーンの開発担当であったことを知った。
また思い通りのブレンドを作るために、
常に優れたコーヒー豆を仕入れなければならない。
同じ産地でも、毎回コンディションが違う。
「コーヒーは農産物だと思っています」と、
きっぱり言い切ったのだ。
だからこそ、同じ産地でも常に微妙な変化がある。
その特色をきちんと理解し、
ブレンドすることによって思い通りの味を組み立ててゆくのが、
浅野さんのプロ意識の現れである。


【本日の店舗紹介】

「アサノ珈琲」
 大阪市中央区備後町3丁目1−2大阪屋アトラスビル1F
 06-6231-1936


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2012年7月31日(火)

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