門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第156回
ぐりる樹林亭

大阪・南森町といえば、
ここ数年は「天満天神 繁昌亭」が名高い。
この落語の常打ち小屋ができたおかげで、
落語に触れる機会が増え、人の流れも随分変わった。
国道1号線と天神橋筋商店街が交差する。
これまで北ヘ向かう人達のほうが圧倒的に多かった。
それは商店の数が相当北のほうが多いからである。
だが「天満天神 繁昌亭」ができてからは、
商店街を南へ、また商店街から東へ動く人達が増えたのだ。
同時に飲食店も多くなった。

一軒の建物が界隈に及ぼす影響は大きい
ということを実感しているのだ。
その「天満天神 繁昌亭」のすぐ前にあるのが
洋食屋の「ぐりる樹林亭(きりんてい)」。

じつは、この店は20年以上も前からこの場所で営みを続けている。
その前には西天満(まだ老松町と呼ばれていた時代)に別名で
洋食屋を営業されていた歴史がある。

歴史があるからといって重厚な空気感が流れるというのではなく、
むしろ街の洋食屋という雰囲気を漂わせている。
僕自身もこの「ぐりる樹林亭」との付き合いは長く、
先代のご主人が厨房に立っておられた頃、
ここの豚の生姜焼きをとある番組の
「夏のスタミナランチ」として一緒に企画、紹介したことがある。

「天満天神 繁昌亭」のオープン以来は
結構行列ができることも多い。
僕は洋食のなかでもフライものというか
カツレツ系統にとても反応する。
ビフカツ、トンカツ、ミンチカツ、コロッケなどである。

もちろん、ここはハンバーグも美味。
それは洋食メニューを支える
ドミグラスソースの旨さによるものだ。
歴史が培ったドミグラスソースには、
種々の味わいが詰まっている。
これはいい食材を使うことも条件だが、
ここでは歴史というファクターが加わり
オリジナルの味を作りあげている。
世代交代はしても、
先代の味と精神はきちんと守りぬかれている。

行列ができ、多くの客が訪れることによって
新たな「ぐりる樹林亭」の時代が醸成されてきたのだ。


【本日の店舗紹介】

「ぐりる樹林亭」
 大阪市北区天神橋2−4−1
 06−6352−8661


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2012年8月3日(金)

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