第21回
ニーハオ・トイレからの脱却
先進国からの中国訪問者を驚かすモノの一つに、
「ニーハオ・トイレ」というものがあります。
これは簡素な造りの
中国式トイレのことです。
個室間に壁や敷居などが殆ど無く、
穴が開いているだけで
そこで用を足すようなカタチになっています。
お隣で用を足す人や、
トイレに新たに入ってきた人とも
顔を合わせ挨拶できてしまうことから、
通称ニーハオ・トイレと呼ばれているのです。
急激な経済の発展を続ける中国では、
それまでの中国風俗と近代化とに
ギャップが広がりつつあります。
そして、面子を大事にする中国社会では、
諸外国の人々から眉をしかめられるのを嫌い、
なんとか「文明的な」社会習慣を
人々に啓蒙しようとしています。
経済の一番発展している都市・上海では、
300メートル毎に公共トイレが見つけられるよう
敷設がすすんでいるそうです。
また、2008年にオリンピックを控える北京でも
ニーハオ・トイレの撤去と
個室トイレの整備が急ピッチですすんでいます。
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北京の公共トイレ
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これは北京市内の公共トイレです。
現在、こうした公共トイレが次々に新設されています。
この公共トイレの扉にかかる標識を見てみると、
トイレを設置した当局の胸中が良く分かります。
「男女共用、トイレに入ったら鍵を閉めてください」
トイレで鍵を閉めるのは当たり前のことですが、
中国では、大きな繁華街のデパートや
本屋のトイレなどに行ってみると、個室の扉さえ閉めず、
「ニーハオ」している中国人はまだまだ多いです。
しかも、これは男女共にだそうです。
長い時間かけて身につけた習慣は、
そう簡単に抜けるものではありません。
先日開園した香港ディズニー・ランドでも、
「夢と魔法」を一気に醒ます事例が
少なくないといいます。
2008年のオリンピックの時期には、
地方から多くの中国人出稼ぎ労働者や
観光客が北京を訪れるでしょう。
どうやら、オリンピック史上
最も多くの「珍事」が各地で
目撃されることになりそうです。
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