第22回
中国抗日戦争記念館
周知のことですが、中国では反日感情が根強いです。
戦争を経験した中国人はもとより、
経験していない若い中国人も
快く思っていないのが実状です。
しかし、清華大学や北京大学クラスの大学になると、
諸外国の状況をよく学んでいる学生も多く、
中国内の報道だけを鵜呑みにしない姿勢を持とうとする、
良識ある学生も少なくありません。
とはいえ、多くの一般大衆は
自由に諸外国に行くこともできず、
また海外メディアを解読するほどの知識レベルもないので、
世に喧伝される反日情報から、
日本に対する感情を大きく左右されてしまうのです。
歴史モノのテレビ・ドラマなどでは、
滑稽なまでに日本軍・日本人は悪く描かれ、
典型的な悪者という位置付けをされています。
勧善懲悪的な役割で、悪い日本を人民解放軍がやっつけ
スカッとする、ある意味「水戸黄門」的な
非常に分かりやすい番組構造です。
生まれながらに反日という人はいないはずなので、
どこかに、こうした反日感情を生む環境があるのです。
中国現地に留学することのメリットとして、
語学の急速な伸びを期待できることに加え、
現地の人々のモノの考え方に触れ、
その思考形勢過程を垣間見れることがあります。
中国語だけをどんなに勉強しても、
ネイティブの思考法やそのバックグラウンドを知らずして、
相手の立場で物事を考えることはできません。
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中国抗日戦争記念館
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こうした抗日関連施設は、北京市だけでも3つあります。
今回は北京南西部の豊台(Fengtai)区にある
「中国抗日戦争記念館」を訪ねました。
入場料:大人15元、大学生:8元
子供、小中学生、身障者、60才以上は無料
展示物全体の方向性として、
「どれだけ日本が中国で悪いことをしたか」が
写真や人形、映像などを用いて解説されています。
日本が戦時中に中国人民を苦しめたことは事実でしょう。
戦争の悲惨さ、不毛さから学び、
同じことを繰り返さないことは大切なことです。
しかし、展示の仕方だけを
諸外国の戦争記念館と見比べると、
この抗日戦争記念館には、強い反日感情を煽る
「意思」が働いてるのが感じられます。
多くの死体や従軍慰安婦の写真の解説には、
その殆どに「日本軍による・・・」
という文字が意識的に書かれているのです。
例えば、広島の原爆記念ドームの展示を見ても、
その殆どに「アメリカ軍による・・・」
という意識的な反米表示は見当たりません。
しかし、ここ中国では、
その解説表示にも「明確な意思」がみてとれます。
対中コミュニケーションを考える際、
中国の人々が、こうした情報・教育を
受けて育ってきているのだと、
我々が知っておくことは重要なことでしょう。
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