第26回
大学生の軍事演習
中国の殆どの大学において、
新入生に対する軍事演習は必修となっています。
仮に自分の意思で参加しないとしても、
後で白い目で見られるので、
殆ど全ての学生が参加するそうです。
中国トップスクールの清華大学でも、
新入生に対して3週間の軍事演習が用意されています。
これは、男子学生だけでなく、
女子学生もほぼ同じメニューをこなさなくてはなりません。
体力的にやや劣る女子学生にとっては、
肉体的に辛いものでしょう。
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学内を行進する清華大学生
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学内を行進している学生の隊列です。
さすがに物々しい雰囲気なので、
「やぁみんな、元気? ぼく日本人だよ!」
とはとても言えません。
言葉にしなくとも、想定している敵としては、
アメリカや日本でしょうから。
日本の大学の中で、
こうした軍事訓練があるのは
防衛大学ぐらいのものでしょう。
日本人学生と中国人学生とでは、
その「戦争への心構え」が違います。
若い日本人の多くが、
こうした訓練は全く経験していませんので、
リアルな戦闘の状況をうまく想像できないでしょう。
しかし、中国人学生は短い期間とはいえ、
こうした擬似訓練を通し
「国を守ること」「戦争状態とはどんなものか」
「戦いの不毛さ」「軍事力とは何か」を
身をもって経験し、よく考えています。
清華大学の建築学部で学ぶ中国人学生たちに、
演習の感想をきいてみました。
「辛いけど楽しい3週間」
「演習中に飲む水は、死ぬほどまずい」
「演習最後の夜間行軍は、本当に辛い。真夜中から朝まで
重い荷物を背負ってひたすら行軍する。達成感はあるけどね」
など、笑いながら色々と話を聞かせてくれました。
演習中にカップルになる学生もいるらしく、
さながら、究極のコスプレのようなものかも知れません。
このように、中国の大学では机上の軍事論だけでなく、
実際の体験を通して学生を教育・統率しています。
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