中国って、本当のところどうなの?

第60回
中国社会、問題続発の原因は?

さて、不利益を発生させるリスクは、
どうしたところに存在しやすいのでしょうか?
これも3つの例をあげるならば、
以下のようなものが考えられます。

(1) 関係者の心理的側面
(2) 組織の構造的側面
(3) 関係者間の政治的側面

(1)の「関係者の心理的側面」ですが、
そもそもの問題を「リスクとして捉えていない」
という認識の甘さがあります。

清華大学の留学生寮の例をみても、
その心理的な甘さが顕著です。

ぱっと見は綺麗ですが・・・

ここに留学しに来ている学生たちは、
「留学ができる」という程度以上には裕福なのです。
つまり、彼らは世界のあちこちで、
ある程度以上の生活レベルをしてきた学生たちです。

その留学生に対して、問題が頻発する
粗雑なファシリティを提供しているのですから、
清華大学のみならず、
中国全体のブランドを貶めています。
そうしたことを
「大きな問題だと認識していない」のです。

将来、留学生の中には
「中国通」として活躍していく学生もいることでしょう。
しかし、彼らのマインドには
「中国=粗悪」というイメージが
焼きついてしまっています。
これは長期的にみると、
この国にとって大きな不利益になる筈です。

中国留学を終え各地に帰国する人々の中には、
「中国に来る前よりも中国を深く知り、
 あまりの適当さに中国が嫌いになった」
という人も残念ながら多くいます。

現在、清華大学の留学生寮に暮らす少なくない学生が、
学外のアパートやマンションに移ることを考えています。
学外にも粗雑な建築が溢れていますので、
これまたまともな物件を探すのが難しいのですが・・・

マンホールの蓋って、割れるんですね

(2)の「組織の構造的側面」は、
各部署のコミュニケーション不全を指します。

そして、(3) の「関係者間の政治的側面」とは、
関係部所がそれぞれの利益を追求するために、
結果として利用者である人々に
多大な不利益を与えてしまうということです。

清華大学の寮の問題では、
こうした(1)(2)(3)の全てが当てはまります。

滞在者が問題を直訴しても、
関係部署・組織間のコミュニケーションが
巧くいっていないため、
部署をたらい回しにされた挙句、
問題の本質はなにも解決されません。

さらに、利用者の利便のために
全体最適で意思決定されるのではなく、
各部署の利害のために、
対応が歪めらることが多いのです。

そもそも、リスクと呼ぶにも値しないような問題が
中国一の大学でも山積みなのです。
現在の中国では、
「多くの小さな問題が、大きな問題を呼ぶ」
という負の連鎖が恒久的に発生しています。

これから中国に留学しにいらっしゃる方は、
「中国では、ある程度の不都合があって当たり前だ」
と覚悟していらっしゃると、過ごしやすいかもしれません。

「混沌とした状態が面白い」
「変化はチャンス」と捉えられる人は、楽しめますよ。


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