中国って、本当のところどうなの?

第80回
中国のHIV/AIDS対応は不十分

昨日からの続きです

中国というと、
その経済発展のスピードばかりに目を奪われがちですが、
どこの社会にも「光」の部分だけでなく、
やはり「陰」の部分もあるのです。

そうした「光と陰」を総合的に見ていくと、
ありのままの「中国の実像」に少し近づけるのでしょう。

さて、先にも中国でのHIV/AIDSの数をみてみましたが、
あちらは実際に「確認されている数」でした。
さらに、未確認のHIV/AIDS数も含めた
国連機関による推計値をみてみましょう。

2004年にHIV感染として確認されたケースは
3万件程度です。
2005年末でも、せいぜいその倍程度の数字でしょう。
しかし、国連機関の推計値では、
43万−150万程度の感染者がいると
実状をはるかに深刻に捉えています。
確認できているのは、氷山のほんの一角なのですね。

また、HIVの増殖・活動を抑えるとされる
抗レトロウイルス薬の治療は、
2004年の時点で12,219人に留まっており、
実際に必要としている人の10分の1程度の人にしか
治療がなされていないのです。

こちらは、
省、県、郡レベルでのHIV感染者/AIDS患者への
サポート状況をまとめたものです。
2002年、2003年とやや古いデータですが、
趨勢としてはやや向上しているのが分かります。

とはいえ、
大きな省レベルでさえHIV感染者/AIDS患者への
治療体制、サポート状況が十分とはとてもいえません。

まして、小さな郡レベルになってくると、
統合的かつ効果的な対応がされているとは、
お世辞にもいえない状況です。
また、中国人・役所の「隠蔽体質」が
状況を更に悪くしていることも考えられます。

2003年のSARSの時に、
正確な情報を出さなかったがために、
多くの不要な患者・死者を出したのは
記憶に新しいですね。
さらには、ここのところ中央政府の方針に
うまく従わない地方行政の例も増えています。

鉱山運営の話ですが、中央政府から、
地方省庁・自治区に安全を徹底するよう求めても、
杜撰な管理で鉱山運営をすすめた結果、
爆発事故などが続出し、2005年の11-12月だけでも
200人以上が亡くなっています。

さらに、事故から河川の汚染が
広がっていることを隠蔽しようとし、
隠し切れなくなって自殺した地方官僚までいました。

「問題があっても、ばれなければ問題ではない」
という誤った考えが、
多くの中国人にはあるように思えます。

自分がHIV感染者だと知りながら
他人にうつしている人々、
状況が悪化していることを認めたくない政府関係者、
こうした人々の誤った認識が、
HIV/AIDSの大流行に帰結しなければいいのですが。

我々にできることとしては、
まずHIV/AIDSやその予防に関する知識を高め、
危険な状況に自ら身を投じないようにすることですね。

HIVは風邪などと違って、
注意していればそう簡単にうつるものではありません。


←前回記事へ

2005年12月14日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ