第107回
日本人の国別の親近感
「外交に関する世論調査」
内閣府が毎年調査しているもので
日本国民の諸外国に対する
親近感・関係状況の意識を
調べている興味深いデータです。
この調査は、毎年10月頃に実施され、
年末には内閣府のホーム・ページで発表されています。
- 親しみを感じる人々の割合(国別) -
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アメリカ、ロシア、韓国、そして中国に対して、
日本国民が抱く親近感を
過去20年間にわたって見てみましょう。
ここでは「親しみを感じる」
「どちらかというと親しみを感じる」
を合わせた割合をまとめています。
平均して日本人の7割以上から
「親しみを感じる」と思われているのはアメリカです。
そして、コンスタントに親近感が低いのがロシアです。
経済的にも比較的係わり合いが低く、
なかなか親近感が沸かないのも当然でしょう。
興味深いのは、やはり中国に対する国民感情です。
80年代半ばまでは、アメリカと同等に
今では信じられないほど
高い親近感を持たれていた中国ですが、
1989年の天安門事件を境に、
一気に親近感を低下させてしまったようです。
それでも、半数ぐらいの日本人には
「親しみを感じる」と思われてきた中国ですが、
この数年の間に、日本人の心に急速な
「中国離れ」が起こっていることがわかります。
2003年のSARSや昨年の反日デモなどの影響を受け、
中国に対する親近感は、
データを取り始めてから過去最低を記録しています。
続いて、
国別の「親しみを感じない人々の割合」を見ていきましょう。
- 親しみを感じない人々の割合(国別) -
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こちらも「親しみを感じない」
「どちらかといえば親しみを感じない」
の回答を合算したものです。
ロシアは、「親しみを感じない国」
としてほぼ定位置にいますが、
ここでも注目すべきは、やはり中国に対する国民感情です。
デモの学生をタンクでひいてしまう映像など、
89年の天安門事件が与えた心理的インパクトは非常に大きく、
「親しみを感じない」人々の割合が俄かに増えているようです。
そして2005年、
日本のマスコミが反日デモなど
「中国のネガティブな部分」の報道を集中して行った結果、
「親しみを感じない」人々の割合はついに6割を超えています。
明日に続きます。
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