第122回
BOSE指数でみる中国の為替と物価
中国では一般庶民が購入する消費財の物価は
諸外国よりも安い傾向がありますが、
モノによっては先進国より高いものもあります。
アメリカの総合音響メーカーのBOSE社は、
世界100カ国以上でビジネスを展開しています。
スペース・シャトルにもスピーカーなどが搭載されるなど、
その性能の高さには定評がありファンも多いです。
そこで今回は、ビッグ・マック指数ならぬ
BOSE指数を算出してみましょう。
サンプルとして、BOSE社から販売されている
Companion2、Companion3の
2つのスピーカー・セットの価格を
アメリカ、日本、中国で比較してみることにします。
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Companion2
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Companion3
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まずCompanion2ですが、
コンピュータやCDプレーヤーなどにつなぎ、
卓上で臨場感のある音が楽しめるスピーカー・セットです。
そして、Companion3は
卓上の2つの小型高音域スピーカーに加え、
重低音を担当するベース・モジュールが
セットとなったものです。
では、それぞれの価格をみていきましょう。
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Companion2
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Companion3
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アメリカ
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\11,415
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\28,710
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日本
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\15,540
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\34,650
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中国
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\21,450
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\50,050
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※1月20日の為替相場にて換算
こちらは2006年1月20日の為替相場で
日本円に換算した価格表です。
現地価格でみると、
アメリカではCompanion2が99ドル、
Companion3が249ドルであり、
中国ではCompanion2が1,500元、
Companion3が3,500元となっています。
こうしてみると、
ビッグ・マック指数でみてきた結果とは逆に、
同一商品でも中国の価格が最も高く、
アメリカでは比較的安いことが分かります。
同一のスピーカー・セットで、
製品が「Made in China」であるにも関わらず、
アメリカでの価格と比べると
中国では4割以上も高いのです。
仮に、BOSE社のこうしたスピーカー・セットを
購買力平価(PPP)のサンプルとして採用してしまうと、
アメリカのドルは中国の人民元に対して、
4割以上も過小評価されていることになります。
諸外国の為替・物価を比較する際には、
「ビッグ・マック」や「BOSEのスピーカー」など
偏った商品・サービスだけでなく、
様々なモノを見比べてみると面白そうですね。
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