第121回
ビッグ・マック指数でみる中国の為替と物価
世界各国の物価を比較する際の指標の1つに
エコノミスト誌が毎年発表している
「ビッグ・マック指数」があります。
世界120カ国以上にて営業を展開する
マクドナルド社の「ビッグ・マック」は、
各国の消費者物価を比較する際にも重宝されているのです。
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北京のマクドナルド
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このビッグ・マック指数、
世界各国のビッグ・マックという
「同一のモノの価格」を比べることにより、
国ごとの物価の違いを垣間見ることができる指標です。
また同時に、
購買力平価(PPP)で見た際の
為替のアンバランスさを浮き彫りにし、
ビッグ・マックを基準値とした場合の
各国の為替の「過大評価・過小評価」といった状況を
比較することもできます。
こちらは、2006年1月9日の時点での為替相場で
各国のビッグ・マックの価格を
アメリカ・ドル(USD)に換算した価格表です。
マクドナルドのご当地アメリカでは、
ビッグ・マック単体の価格はUSD3.15となっています。
気になる日本と中国ですが、
日本のビッグ・マックはUSD2.19であり、
中国のそれはUSD1.3と世界最安の単価なのです。
これはつまり、
世界中の為替が自由に変動し、
世界のどこでも「同じものは同じ価格」という
「一物一価」が成り立つのであれば、
同じビッグ・マックという商品が安く購入できる
日本や中国の為替(日本円・中国元)は、
USDに対してそれだけ割安であるということになります。
こうしてビッグ・マックを基準値とした場合、
日本円は3割過小評価されており、
中国元に至っては59%も
安く評価されていることになります。
ただし、ビッグ・マックの価格自体が
その国の実情を必ずしも反映したものでないのも事実です。
中国の人民元では
10.5元のビッグ・マックですが、
中国で10.5元も出せば、
庶民のランチ・コースが食べられるところも多くあります。
中国のマクドナルドやKFCは、
平均的な中国人の収入を考えると、
現地の一般の人々にとっては
かなり「高額」な価格設定がされているのです。
つまり、より中国現地の実勢価格を
反映したモノで比較されるならば、
中国の人民元は59%などよりも
「はるかに安く評価されている」
と試算されることになるでしょう。
明日は、「比較の基準となるモノ」によって
その結果が大きく異なる例として、
アメリカの音響メーカー・BOSE社の事例をとりあげてみます。
<今日の豆知識>
実は、ビッグ・マックなどのハンバーガー類は
「サンドイッチ」というカテゴリーに属すのですね。
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ビッグ・マックはサンドイッチ
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