第151回
清華大学の土産物は「いやげ物」
みうらじゅんさんの造語に
「いやげ物」という言葉があります。
「誰がこんなもの欲しがるのだろう」という
土産物を指して「いやげ物」と呼ぶのです。
貰っても嬉しくないし、
人にあげるのもどうかという土産物です。
中国に来てみると、
日本の友人に持ち帰りたいと思えるものが意外に少なく、
土産物探しにはなかなか苦労するものです。
なぜこうしたことが起こるかというと、
誤解を恐れずに言えば、土産物を売る側の中国人に
外国人が欲しいと思うものを提供する
「センスが欠けている」のです。
大学関連グッズにおいても同様で、
こんな「いやげ物」、誰が買うのだろう
という代物がほとんどなのです。
清華大学東門(正門)の左手に、
大学グッズを扱うお店があります。
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清華大学のロゴ入り腕時計 |
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京劇のお面の柄入り箸・箸置き |
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清華大学トレーナー・Tシャツ |
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清華大学のロゴや風景をあしらった陶器 |
あえて「いやげ物」を狙って販売しているのであれば、
かなりハイ・センスなセレクト・ショップですが、
「値段相応に良い物」と思って買えるものは希少です。
大学グッズの良し悪しでも、
大学のブランド・アイデンティティには影響を与えます。
とある大手コンサルティング会社では、
「ブランド=Σカスタマー・エクスペリエンス」
という公式を使っています。
つまり、当該企業・組織に対して
顧客(人々)が接する全ての経験(情報)が
その企業や組織の「ブランド」として認識されていくのです。
かっこいい大学、ハイ・センスな大学、お洒落な大学、
よく勉強のできる大学、在校生・卒業生が優秀な大学、
キャンパスが広く美しい大学、
大学一つとっても、様々な認知のされ方があるでしょう。
清華大学の「いやげ物」ショップのグッズも
せっかく築いた大学のブランドに
大学グッズで傷をつけ続けるのはまずいでしょう。
戦略的に大学のブランド価値を最大化したいのであれば、
一度LVMHなどのお店に参考に行ってみるといいでしょうね。
また、先進国の人々が好む中国テイストを知りたければ、
三全公寓の種字林に見学に行ってみるのもいいでしょう。
「人々にどう認知されたいのか」、
まずはゴールを明確にイメージしておく必要がありますね。
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