中国って、本当のところどうなの?

第198回
社会保障の充実へと向かう中国

さて、無許可での抗議活動が禁止されている中国ですが、
そうした環境にあっても、生活に逼迫した低所得層の人々の
抗議活動は首都北京でも増えているようです。

北京の国連関連組織で働く友人の話では、
無許可での抗議活動は中国では当然ご法度。
2005年の反日デモのようなことを大々的にやれば、
デモ参加者は当局に拘束されません。
(先日の反日デモの参加者は殆ど拘束されていないようですが)

都市部では富めるものが増えていますが、
地方ではいまだに極貧の生活をしている人々が多くいます。

中国の都市と地方を比べる比喩として、
「都市はヨーロッパ、地方はアフリカ」という
表現があります。

空前の高成長により街の様相が一変しつつある都市部、
対照的に成長から取り残され生活環境の向上しない地方。
こうした状況をよく言い表した表現でしょう。

多くの人々に先行して富める人々は生み出したのに、
一向に貧しい人々の生活がてこ入れされてこなかった中国。
格差への不満が爆発しつつある昨今ですが、
2010年の政府の成長目標の指標には、
格差是正・地方の生活状況の向上が大きく盛り込まれています。

中国留学・北京事情・中国の大学-加藤嘉一

地方の収入は2005年の3千元強から4千元越えという
目標値を設定しています。

伸び率からいえば、そこそこの増加ではあるものの、
同時期の中国社会全体の成長が40-50%に達すると予想されるなか、
地方の収入の伸びは30%程度の鈍い伸び率ともとれます。

中国留学・北京事情・中国の大学-加藤嘉一

病気や怪我の際に、今日の地方の多くの人たちは、
貧しいがために医者にかかることができず、
自力で快復することを強いられています。

2005年の医療制度のカバー状況は、
地方では2割強といった恐ろしいほどの低水準ですが、
2010年までに国・地方自治体からの保障を厚くすることにより、
地方でも8割の人々に医療を受けられるようにしようとしています。

社会全体で見ると急激に成長しているのに、
その成長の恩恵にちっとも預かれてこなかった地方の低所得層。
弱肉強食の様相を呈する経済の自由化だけでなく、
数億人単位で存在する低所得層の生活のてこ入れができてこそ、
政府が存在する意義があるのでしょう。


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2006年6月2日(金)

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