第246回
北京ダックというブランド
昨日から北京ダックの老舗である
全聚徳を紹介しています。
北京市はもとより
中国には掃いて捨てるほど多くの場所に
北京ダックが口にできる場所があります。
北京ダックの老舗や名店でなくとも、
一般のレストランでも1羽当り
日本円にして千円強程度から食べることができます。
毎日とは言わなくとも
何かのお祝いなどには中国の庶民でも手の届く値段です。
とはいえ、実際に毎日食べたくなるものでもありませんが。
こうした多くの北京ダックを扱うお店の中でも、
「北京ダックといえば全聚徳」というほど
全聚徳は北京ダックのお店としての
ブランド・アイデンティティを強固に確立しています。
全聚徳で北京ダックを食してみると、
他の大型店でも見られるように、
ロースト・ダックをシェフがお客の前で
切り分けてくれるパフォーマンスがあります。
これは北京ダックの味とは全く直結しないのですが、
食べる楽しみをさらにかき立てる演出の一つとして、
そこそこの規模のお店では取り入れられています。
このパフォーマンス、
初めて北京ダックを切り分ける様子を観る人にとっては
それなりに興味深く楽しいものですが、
何度も北京ダックを食べている人にとっては、
「もう分かったから早く出してくれないかな」
というマンネリの演出でもあります。
全聚徳の強みといえば、
なんといってもそのブランドでしょう。
味もある程度美味しいことは確かですが、
看板料理の北京ダックを除けば、
他の料理は他店でも食べられる程度のものです。
それでも常に一定以上のお客を集め続けられるのは、
やはり「北京ダックといえば全聚徳」という
ブランドを確立してしまったからであるといえるでしょう。
何か一つ、強力な軸を持つことは
ビジネス成功の上でとても大切なことですが、
毎年多くのお店が開業し、
沢山のお店が消えていく飲食市場においても
同様のことが言えるでしょうね。
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