第253回
混沌とした村落が点在する天津
北京から電車で1時間半の天津を歩いていると、
北京と比べて市の中心部であるにもかかわらず、
胡同と呼ぶのもはばかられるほどの
「混沌とした村落」が点在しているのが分かります。
天津でも外資系のメガ・マートや大きなデパートなどが
次々と建設されていますが、
そうした真新しい開発区のすぐ隣で、
経済の底辺で生活しているような人たちが
まだ生活を続けているのです。
上海や北京の中心部にも
昔ながらの町並みである胡同は点在していますが、
胡同内部の生活環境・水準は急激に改善されつつあるようです。
しかし、天津の街中にある胡同・村落は、
上海や北京では市郊外に追いやられた非常に貧しい村落が
そのまま市の中心部に残っているようです。
こうした良くも悪くも昔ながらの中国的な村落を
市の中心部で目にすることのできる天津は、
開発された地域と取り残された地域とのコントラストを
鮮やかに見せてくれますので、
中国という国のおかれた状況や問題を
肌身で感じられるような場所になっています。
粗末なつくりの小さな商店群、
道端でガヤガヤ騒ぎながら食事を摂る人々、
怪しい床屋の中から手招きするおばさんたち、
路上で遊ぶ子供たち、
何を見るでもなく外でほぼ一日中座っているお年寄り、
村落全体がゴミ箱の中のような不衛生な環境。
上海や北京の中心部だけを見ていたのでは、
こうした中国の一面はなかなか見えてきませんが、
天津には市の中心部にもまだこうした
カオスが残っています。
天津は、市の中心部で中国の光と影を如実に見せてくれるのです。
明日は、
北京と天津とを留学先の候補地として比較してみましょう。
|