第252回
天津の古物市場を訪ねて
天津人のLCQさん(第178、179回)の引率で再訪した天津。
「さぁ、面白い場所に連れて行ってもらいましょうか!」
という段になって、LCQさんの顔が浮かない様子です。
「あれ、どうしたの?」と問えば、
「みんな、どんなところが好きかなぁ?」という虚ろな答え。
「いや、天津が面白いって言うからわざわざ皆で来たんだけど」
「んー、ショッピング好き?大きいデパートあるよ」
「そんなの北京にだってあるでしょ!」
「じゃ、スターバックス行く?」
「天津に来てまで、なんでスターバックスなのっ!」
こんなしょうもないやり取りの末、
向かったのは天津市中心部の和平区にある
「沈陽道古物市場」でした。
この古物市場、毎週木曜日には
朝から露店が並び、多くの古物好きが集まります。
実際に足を運んでみると、
外国人にはその雰囲気だけでも
ワクワクするような体験ができるので、
確かに「天津にも面白いところがあるものだな」
と実感することができました。
とはいえ、古物市場で扱われている商品には、
本当に古い価値あるものもあれば、
古く見えるように作られた新品も混ざっているので、
見る眼がある人と連れ立っていかないと、
思わぬバッタモノを掴まされることもあります。
LCQさんのお父さんの友人が、
古物市場で買った陶磁器を誇らしげに見せに来た時の話です。
「いやー、掘り出し物見つけたよ。
こんなに素晴らしいお椀が、
なんと2000元で手に入ったんだ。いいだろこれ?」
「んー、これはどうみても200元がいいところだよ」
「えっー、200元! 騙された!!」
掘り出し物に出会える確率はかなり低いのですが、
中国の古物市場を散策する経験は、
なかなかに楽しいものです。
しかし、そのためにずっと天津で暮らすほどのものでもありません。
本当に価値のある中国の古物を
たくさん見て効率的に購入したいのであれば、
北京の三全公寓にある種字林などに行けば、
ずっといい古物が見つけられるでしょう。
天津の古物市場に並んでいるモノは、
古物の取引自体が好きな人々にとっての
オマケみたいなモノが多いのかもしれません。
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