第270回
それはそれは退屈な中華民族園
北京市中心からやや北にいったところに、
「中華民族園」という名のテーマ・パークがあります。
この中華民族園、広大な中国に存在する56民族の
それぞれの建築や文化などの様式を一堂に集めた
体験型の娯楽施設です。
そのテーマ設定だけを聞く限りは、
かなり面白そうな場所ですが、
実際にここを訪れてみると
大変な「がっかりスポット」であることが分かります。
中華民族園の外観は、
近くを訪れたことのある人にはとても気になる造りです。
中を覗いてみたくなりますが、
ここは諸国のテーマ・パークを見たことのある人々、
特に目の肥えた先進国から来た人々には、
物足りないものでしょう。
というのも、この施設のテーマである
各民族の建築様式や文化を伝えるという目的が
それぞれの建物や展示の仕方が適当なために、
お世辞にも達成されているとはいえないのです。
中国の世界最高水準のコピー技術をもってすれば、
かなり精度の高いコピー建築も建てられる気がしますが、
ここではその技術力は見られません。
園内に入ってみて気がつくのは、
「子供だましの適当な仕事」だということです。
また、ご丁寧にもこの中華民族園、
北側と南側の施設ごとに入場料金を徴収します。
その入場料金がこの施設に見合った
入場料であればいいのですが、
一人数十元も取られますので、
それだけの価値があるかどうかは微妙です。
ここを訪れるぐらいであれば、
海淀区にある中国56民族の全ての出身者が集まる
中央民族大学を訪れた方が、ずっと色々な情報や
生きた人々に出逢えて面白いでしょう。
中国の多くのテーマ・パークや
美術館・博物館に共通していえることですが、
人々を知的に楽しませるという視点が欠落しているか
まだまだその技量が残念ながら低いケースが殆どです。
中華民族園、とても退屈なので気をつけてください。
|