第275回
侵華日軍第731部隊遺跡
開館時間:午前9:00-11:30
午後13:00-17:00(発券は16時まで)
定休日:なし
入館料:20元
侵華日軍第731部隊遺跡は、
他の抗日戦争記念館同様に
愛国主義教育の重要拠点として位置づけられています。
こうした施設では、
やや過剰に敵国(日本)を悪く伝える表現が目に付きますが、
中国語には人を罵倒する汚い言葉が多数あるので、
字面だけで額面どおりに受け取らず、
やや割り引いて読んでもいいかもしれません。
侵華日軍第731部隊遺跡で来場者に伝えている
メッセージの骨子は、以下のようなものです。
・この施設で少なくとも3000人以上もの中国人が
細菌兵器の研究材料として人体実験に使用され殺された。
・日本軍が開発した細菌兵器により、
少なくとも30万人以上もの人々が中国大陸で殺された。
・歴史上類を見ない日本軍の残虐な行為を
未来永劫忘れてはいけない。
日本軍が実験材料として殺した人数や
細菌兵器による死亡者数は、
ここで伝えられている数字が正しいかどうかは分かりません。
しかし、日本軍がそうした行為をしたということは、
おそらく事実なのでしょう。
北京にある抗日戦争記念館での伝え方よりも、
ハルビンの侵華日軍第731部隊遺跡での史実の伝え方は、
やや冷静であるようです。
元731部隊に従事していた退役日本兵の証言や
日本での731部隊に関する
研究書籍の数々なども展示されており、
比較的バランスが取れた展示内容である
といえるかもしれません。
史実を歪曲して伝えられるのは
日本人にとっても一般の中国人にとっても困りものですが、
過去にあった戦争の事実を客観的に伝え、
大きな過ちを繰り返さない教訓にすることは
大切なことでしょうね。
他国政府の一握りの人々が意思決定をし、
最終的に大変な過ちとなった史実を喧伝するだけでなく、
自国政府が犯した過ちに関する開示もあると
なお良いのですけれどね。
そうした教育や情報開示が中国でされていくまでには、
まだある程度の時間を要することかもしれません。
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