第282回
街中で感じる所得格差の拡大
上海や北京といった都市部では、
大きなデパートやショッピング・モールが立ち並び、
売られているものを見ても先進国に急激に追いつきつつあるのが
今日の中国です。
また、庶民の日常の生活用品だけでなく、
世界の高級ブランドの中国進出も目覚しく、
こうした勢いはすでに上海・北京といった
誰でも知っている都市だけでなく、
地方都市にも及んでいるのです。
黒龍江省のハルビン市、吉林省の長春市、
遼寧省の瀋陽(沈陽)市といった
東北3省の省都には、上海や北京に続いて
世界の高級ブランドの出店が始まっています。
上海や北京と比べると、
ずっと所得水準の低い東北地域ですが、
既にそうした地域にも世界の名だたるブランドが
進出を加速しているのです。
こうした東北の地方都市にも、
一般の中国人からすると、
目の飛び出るような価格の高級ブランド品を
購入していけるだけの高額所得者が存在し、
またビジネス上の贈り物などに利用している人々がいるのです。
一方で、
その日の暮らしにも困るような人々が多く存在するのも
中国の一面であり、日本で近年言われ始めた
「所得格差の拡大」などよりずっと激しい格差が
すでに中国ではみられるのです。
中国という国を考える際に、
その「平均値」を取ったのでは意味がありません。
唸るような金持ちの層、それに続く富裕層、
成功を夢見る層、貧困に喘ぐ層など、
幾つかのレイヤーと地域・民族ごとの要因を掛け合わせると
多くのセグメントが存在することが分かります。
中国という市場を捉える際には、
日本のように平均化しやすい市場の物差しは適用できず、
多元的な層が存在することを
常に意識しておく必要があります。
また、数値だけで物事を認識・判断せずに、
足を使って知識に肉付けしておくことが大切ですね。
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