第287回
瀋陽の書店にみる地方の文化レベル
遼寧省瀋陽市(沈陽市)を訪れてみると、
東北3省の中でも最も栄えている省であるにもかかわらず、
その省都の文化レベルの向上は
まだまだ途に着いたばかりだと感じられることでしょう。
街の景観は真新しいビルの建設などによって
急速に様変わりしていますが、
その箱の中身であるコンテンツが
ついていっていない感があります。
瀋陽で最大の書店である連合書城を訪れました。
ここではまず来場者は大きな荷物は預けるか、
入り口で待ち構えている係員によって、
専用ビニールでカバンごとパッキングしてもらわねばなりません。
また、肝心の商品である書籍の配架も、
上海や北京のように
書棚が綺麗に配置されているのではなく、
倉庫の中にあるようなアルミ棚が
そのまま書店の中で陳列に利用されているのです。
こうした景観は、さながら在庫を保管する倉庫の中を
お客が徘徊しているような妙な風景ですが、
瀋陽最大といわれる本屋では、
こうした光景が普通のこととしてまかり通っています。
北京や上海地区では、
お客が寛いで本を閲覧・選択できるようにと
ソファや椅子を用意している本屋も増えてきていますが、
地方都市の沈陽では、
まだそのレベルには到達していないようです。
仕事や留学などで
中長期に渡って瀋陽で生活をする場合には、
こうした文化的な機能の低さが生活の質の向上や
各種研究・市場調査などの
壁となると感じられることでしょう。
米国発のオンライン書店であるAmazonなどは、
まだ中国では根付いているとは言えませんので
どうしても書店を頼らざるを得ないのです。
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