第289回
中国の鉄道事情:硬臥の車両
昨日(前回)から、
中国の鉄道事情をお伝えしています。
さて、中国には主に(4)硬臥と(5)軟臥の
2種類の寝台車両がありますが、
今回はそのうちの(4)硬臥の車両を見てみましょう。
硬臥の車両は、文字通り「硬いベッド」の車両です。
中国の一般庶民が長距離移動をする際には、
この硬臥を利用することが多いようです。
そして少しお金のある人々は、
中国鉄道の中では高級車両である軟臥を利用し、
さらにお金のある人たちは飛行機を利用します。
硬臥の車両では、
寝返りが打てない程度の狭く固めのベッドが
下段・中段・上段の3段ベッドが設置されています。
さらにその3段ベッドが向き合って、
一つのコンパートメント(計6ベッド)を構成しています。
つまり、一区画の小部屋の中に、
3段ベッドが左右対称に2列に分かれ、
向き合っているようなカタチです。
実際にこの硬臥で旅をしてみると、
その寝心地の悪さになかなか寝付けないかもしれません。
というのは、硬臥の車両のベッドは上述したように狭く、
6つのベッドが一区画となっているために、
同じ区画に大きないびきをかく人などがいると、
途端に状況は劣悪になります。
かなり疲れていれば硬臥でも
寝付きやすいかもしれませんが、疲れの余りに
ひょっとすると自分がいびきをかいてしまい、
周りの人に迷惑をかけるかもしれません。
また、日本の鉄道とは異なり、
中国の鉄道は揺れが激しい箇所が多々あります。
日本の高速鉄道である新幹線では、
その揺れの少なさはつとに有名で、
タバコの箱を縦に立てたままでも
ずっと倒れないほどだといいます。
これは鉄道の線路が極めてなだらかなのと、
電車の車両自体のクッション性が
非常に高いために実現できることです。
日本の26倍という広大な中国において、
一部のエリアでは日本並みの鉄道性能に
近づいていくかもしれませんが、
中国全土となるとまだまだ遠い先の話となりそうです。
明日は(5)軟臥をみてみましょう。
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