第301回
中国人の「問題ない」は、問題あり?
中国人が口癖のように言う言葉に、
「問題ない」(没問題:めいうぇんてぃ)
というものがあります。
状況が芳しくないのではないかとか、
心配されるような時に質問をされた中国人が、
決まって発するこの台詞は、
文字通り「問題ない」とは受け取れないことが
ままあります。
というのも、多くの中国人が気安く
「問題ない」と言い過ぎる傾向があり、
本当は問題があっても自分の面子を保つために
問題を隠そうとする傾向があるのです。
何か問題があったときには、
すぐに問題を明らかにしてくれた方が
問題が大きくなる前に対処できるのですが、
「ばれなければ問題は問題ではない」という
誤った考え方の中国人も多いために、
「問題ない」はずの状況から派生する問題が
中国には多くあるように思えます。
自分が失敗してしまったことや、
弱い自分であること、何か問題を抱えていることなどを
正直に人に打ち明けるのは、勇気のいることです。
しかし、問題がさらなる大きい問題になる前に、
素早く問題の所在を人々に開示し、
解決策を打つのが大人の対応というものです。
「問題がある」と伝えてしまうと、
一時的に「問題を抱えている」という
レッテルを貼られるかもしれませんが、
それを素早く解決するならば、
「信用に足る大人」と人々から信用されるようになるでしょう。
SARSが流行した数年前、
信用が何より大切な医療機関から発表された情報は、
「問題を隠す中国人体質」を
悪い方向で良く表してしまいました。
結果として、対応が遅れて多くの人を無駄に死に追いやり、
中国の医療機関に対する世界の信用を
ことごとく失墜させてしまったのです。
大きな組織であれ、街のレストランの服務員であれ、
彼らの発する「問題ない」という言葉が
本当に問題なくなる日は遠い先の話かもしれません。
しかし、長期的に多くの人々から信用に足る
面子・プライドを築いていきたいのであれば、
場合によっては「問題がある」と言える勇気を
しっかりと持っておく必要がありますね。
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