第302回
中国人の「大差ない」は、大差あり?
昨日(前回)は、
中国人の発する「問題ない」の問題に触れてみました。
今回は中国人がこれまたよく使う言葉である
「大差ない」(差不多:ちゃーぶどぉ)を考えてみます。
日本のように、先進国の中でも
きめが細かく職人的な気質を持つ人々が多い国から
中国へと渡ってみると、
多くの中国人の仕事の「いい加減さ」が目に付きます。
「こんな品質の商品は日本では売れないだろうな」
というモノを中国では多数目にすることがあり、
日本で売られている商品の品質の高さを
再認識させられもします。
今日の日本人は、世の中にある商品の大多数が
高い品質のモノの中で暮らしているので、
知らず知らずのうちにも日常生活の中で
「良いものと悪いものを見極める目利き」が
かなりの程度で自然にできるようになっているのでしょう。
日本では粗悪な商品は売れ残り、
品質の良いモノやブランドの価値を確立した商品は
売れていく傾向があります。
また、日本では「品質が良くて当たり前」
というレベルにまで達していますので、
品質が良いだけでは売れないということも
既に起こっています。
一方、中国ではとても大きな買い物である不動産から
生活の中で消費される衣類や食事といった場面にまで、
中国流の「適当な仕事」が目に付きます。
ショッピングなどにおいても、
品質の悪い商品を手にした日本人が、
「ここに問題がある」といっても、
中国人の服務員からは「大差ない」などといわれ、
がっかりすりすることが多いです。
購入者の側が「これぐらいの問題ならば大差ない」
と言うのであればまだしも、
売る側が商品の抱える問題点を
「大差ない」と言ってしまうあたり、
中国的な「差不多」精神を表している事例です。
急速に先進国に追いついているかのような中国ですが、
まだまだ中国の一般庶民の感覚は、
先進国、特に日本の一般の人々の品質に対する感覚とは
かけ離れたものがあるのです。
小さな問題でも「大差ない」ではなく、
「大差ある」と認識できることは、
日本人の大きな強みであるのではないでしょうか。
「日本人は注文が細かくてうるさい」
と日本語を学んだことのある中国人でも言うことがあります。
しかし、日本製品の品質が
世界で圧倒的な信用を勝ち得ているのは、
日本人のこうした少しの問題でも「大差ある」と思える
きめ細やかな感覚から来ていることを
中国人は学ぶ必要があるでしょうね。
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