第305回
日中相互学習のすすめ
中国語の学習者が中国現地に留学して少しすると、
次第に授業で習った中国語を使って
実際にネイティブの中国人と
コミュニケーションがとりたくなるものです。
ネイティブの中国人から中国語を教えてもらい、
生きた中国語の能力を高めつつ、
お返しに中国人に日本語を教えるという
「日本語と中国語の相互学習」という形態は、
中国現地でも一般的な学習形態となっています。
この相互学習、
お互いに日本語・中国語の初心者同士ですと、
英語などの第3言語での
コミュニケーション能力が必要となります。
しかし、共通の第3言語となる言語がない場合は、
日本語と中国語で最低限の意思疎通ができる程度の
日本語・中国語の能力が求められます。
幸い、中国では英語の次に日本語の学習者の人口が多く、
英語や日本語以外の言語を使う人々と比べると、
相互学習のパートナーは探し易いといえるでしょう。
また、日本語を専攻する学生でなくとも、
清華大学や北京大学といった中国のトップ・スクールでは、
趣味のレベルで片手間に学んでいる日本語が
ある程度のレベルに達している中国人学生も多く、
彼らを相互学習のパートナーとすることも可能です。
実際、どのようにして相互学習の
パートナーを見つけるかといえば、
学校内にある学生会のコミュニティが
日中相互の学生の紹介を行っていたりもします。
また、「日本語コーナー」や
「中国語コーナー」といった具合に
各言語を学ぶ学生の集まりに参加して
気の合うパートナーを探すのも1つの手段でしょう。
さて、清華大学や北京大学といった有名大学といえども、
時間にルーズであったり、約束を守れないといった
「おおらかな動き」をする中国人学生も少なくはないので、
一人のパートナーに固執・限定せず、
最初は複数の中国人の友人と試しに数回だけ相互学習を
してみてもいいかもしれません。
複数人の中国人の中からなら、
自分に合った相互学習のパートナーを
見つけられる可能性は高められることでしょう。
相手は生身の人間です。
当初は日本語に興味を持っていたけれど、
熱意が続かないことだってあります。
また、残念ながら馬が合わないこともあるでしょう。
末永く相互学習が続けられるパートナーと
いきなりめぐり合えるとは思わず、
「何人かとは縁がないかもしれない」
と、ゆったりとした心構えで挑むことができれば、
落胆は少なくてすむかもしれませんね。
|