第306回
日中相互学習の実際
昨日(前回)から、
日本語と中国語の相互学習について考えています。
さて、いざ日中の相互学習をしてみると、
多くの人は日本語を教えることの難しさに
直面することになるでしょう。
日本語のレベルが
ある程度の中国人からの質問もさることながら、
初歩的な日本語の学習者の質問ほど、
本質的な質問はないからです。
「この『あいうえお』は、なんで『あいうえお』なの?」
こうした核心を突く質問は、
それが当たり前だと思っていた日本人に対して、
非常に困難な質問でしょう。
「それはそういうものだと思って憶えてね」
と答えてしまいたくなるような質問が、
初めて日本語を学ぶ外国人からは
幾つも浴びせられるに違いありません。
相互学習をしていると、
言語を教えることを専門に学んだ人ならまだしも、
素人にはかなり難しい質問をされることがよくあるのです。
人に教えるためには、自分もきっちりと
対象領域を学んでおく必要があります。
さて、これがまた厄介なのですが、
中国で使われている日本語の教科書には
間違った日本語が使われていることも多く、
そうした教材中の日本語を修正しようものなら、
「なぜそうなるのか」をしっかりと
説明できないといけません。
逆に、中国語においても
言語学を学んだ中国人なら答えられますが、
一般の中国人には答えられない文法的なことも多くあります。
相互学習をする際には、こうした細かい点を差し引いて
「とにかく会話に慣れる」ということを主眼とし、
双方に楽しみながら学習を続けていけると良いでしょう。
さらに、厳密に文法や言語的なニュアンスを
しっかりと学びたいのであれば、
日本語・中国語ともに、正式な先生に付いて貰い
お金を払って勉強する必要があるでしょうね。
日本語・中国語の相互学習は、
あくまで会話の場数を増やすということと、
お互いに「ネイティブの言葉遣いに慣れる」
ということを目的に考えれば、
しっかりと元が取れる学習形態になるでしょう。
また、相互学習を通して、
気の置けない中国人の友人を見つけられると、
中国での生活がより実り多いものとなるのは
言うまでもありませんね。
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