第313回
兄、姉、弟、妹は死語になる?
肥大化し膨張し続ける人口を抑制するために、
1979年から始まった中国の一人っ子政策ですが、
今日の26才以下の若年層の多くが
一人っ子という状況にまでなりました。
都市部では、
かなり厳密に「一人っ子」という政策が取られ、
二人目をもうけてしまうと罰金が科せられたりもします。
また、働き手が必要な農村部では「二人までOK」という
やや各地の情報を考慮した政策や、
人民側が自主的に隠れて子供を作る(?)などして、
現在に至っています。
若い世代の人々が皆一人っ子になると、
「兄、姉、弟、妹」といった言葉は
死語になるのではないかと思われますが、
現在の「兄、姉、弟、妹」という言葉は、
文字通り一親等の親族に対する呼称から、
友人や従兄弟・従姉妹などへの親しみを込めた
呼称へと変わってきているようです。
実際、若い中国人の人々と接していると、
頻繁に「兄、姉、弟、妹」という言葉を発します。
しかし、実際には彼らの多くが一人っ子であり、
一親等には兄妹がいないことが殆どです。
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お、双子だ! |
それでも、こうした「兄、姉、弟、妹」という言葉は、
死語ではなく普通に使われ続けているのです。
本来「兄、姉、弟、妹」という言葉が持つ
実の兄弟・姉妹という第一義の意味合いは薄れ、
次第に相手に対する愛情の念を示す
カジュアルな言葉へと変質していっているようですね。
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あれ、後ろにもう一人いる? |
中国では、相手の年齢が自分より上か下かを見極め、
「兄、姉、弟、妹」などを使い分けると、
日本人から呼ばれたとしても、
中国人は比較的嬉しそうにしているものです。
実の兄弟・姉妹がいない
一人っ子世代の中国人にとっては、
「兄、姉、弟、妹」と呼び合える友人・知人は、
なにより大切な存在なのでしょう。
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え、三つ子? |
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