イラストレーター・小泉鉄造さんが
明かしてくれる、株式投資の虎の巻

第218回
「三九企業集団」の企業戦略

中国の医薬品最大手の三九薬業の親会社で
三九企業集団が持ち株の約6割を
外資に売却する予定だと発表しました。
現在は大型国有企業を監視する
国有資産監督管理委員会が売却計画を審査しています。
今年の夏までには結果が出そうです。

なぜ三九薬業の親会社が持ち株を売却するのか見てみますと、
関連事業の拡大に伴い同社は有利子負債が膨らみ、
これが経営に支障をきたしていました。

赤字部門は三九実業集団で主に
不動産、印刷、通信関連、レジャー部門でした。
黒字は三九薬業で医薬を含め傘下に上場企業が3社あります。
今まで中国では
国有企業を外資に売却することは珍しかったのですが
今後は拡大して行きそうです。
また、日本の企業のカネボウは
化粧品を除く、医薬品、繊維、食品を分離させることが
産業再生機構で決まって現在は評価格の算定中です。
(秋には算定金額が出ます。)
4月に入り三九企業集団が
その日本の産業再生機構の対象になっているカネボウの
医薬品事業を買収する意向を示しました。

カネボウは一般用(大衆薬)が主流ですが、
医療機関で処方する医家向け漢方も取り扱っています。
三九企業集団はカネボウの医薬品事業を買収することによって
日本で医家向け漢方の製造の承認を容易にし、
中国で生産した漢方原料で
製造コストを大幅に引き下げ販売するのが目的です。
またカネボウのブランド力を活かし
アジア市場の開拓でも期待ができるとしての買収案です。
また昨年には富山県の企業を買収し、
大衆薬事業にも参入しています。
三九実業集団は外資に持ち株の6割を売却することで
企業内改革を進め企業の近代化を図り、
カネボウなどの買収を進めていき、
事業拡大を狙っています。

これが同社の経営戦略です。
上海B株企業で上海三九科技(コード:900907)がありますが、
同社は最近まで中国最大級のコンベアベルトメーカーで
「上海ラバーベルト」という企業名でした。
私は「上海ラバーベルト」という社名の時に
同社の工場にいったことがありますが
機械も古く効率的ではないので
購入できる企業ではないことがよく分かりました。
ですが2000年末に企業再編を行い
伝動ベルトや軍用製品以外の事業をやめて
医薬品業界「三九企業」集団傘下企業5社の
医薬関連企業を譲り受けました。
三九企業は
中国での製薬のシェアーが3割となっている大企業です。
このような企業にたいしては今後をみていき
投資できるかどうかを判断していく必要がある企業です。



当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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