前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第102回
福臨門の縄張り

「食指が動く」で紹介された
ミシュランのガイドブックのレストランが美味しかったので、
香港にも行ってみたくなりました。

初めて入った念願の福臨門のガラ空きの店内には、
太い縄が張ってあって外国人はその縄の外の席で食べるのでした。
出鼻をくじかれた私達は気を取り直してメニューをもらい、
Qさんの本から書き抜いた料理を捜しました。
しかし二人切りでは鱶鰭スープもダメだし、
メニューを見ても百花蒸醸豆腐とか歯成魚炒飯とか
予定していたものが有りません。
「この料理はできますか?」と、
ウェイターに「食指が動く」の書き抜きを見せると
ウェイターは奥に入って行きました。
そしてなぜか一緒に連れてきた
脹れっ面のコックが私の前に立ちました。
ウェイターは「何だかかんだか」とコックに話しかけ、
その間コックはギョロリとした目で
値踏みするように私達を睨みました。
そしてすぐに引っ込んでいきました。なんだったんでしょう?

炒飯と鶏は美味しかったのですが、
豆腐料理は中まで火が通って無くて冷たいのでした。
無愛想なウェイターは
食べ終わる前に下げてしまおうとするところは、
トゥール・ダルジャン(第69回)とえらい違いです。
ここは二人で来る所ではないし、
予約しておかないと
肝心な物が食べられないお店なのでありました。

このように初めて食べた時は散々でしたが、
本当は美味しいのだということは疑いませんでした。
そこで次は、いつも日本に帰ると泊り込んで
一方的に私達が世話になっている、
食べ物の好きな親族と香港に食べ歩きに行きました。

さて、私達は自分達の結婚式をするのが嫌いだったので、
式も披露宴もしていません。
結婚式はしませんでしたが“銀婚式”という名目で
香港に招待旅行して、再び福臨門に行ってみました。

福臨門も今度はもう縄を張っていませんでした。
ウェイターもニコニコと、
片言の日本語で親切にサービスしてくれました。
鱶鰭スープや子豚の丸焼き、ハタの蒸し物に
フワフワの大きな黒光りする海鼠、
その他色々「美味しい、美味しい」のでした。
やっぱり中華料理は皆で色々な料理を楽しむのがいいです。
値段は高かったけれど味はそれを上回って、
あまりに美味しかったので、
皆はお金を貯めて又来ることを決意しました。


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2004年12月7日(火)

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