前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第131回
イラン人イラジ

3年働いてくれたチュンが独立するので
新しい人を捜し始めました。
再び日本人のTさんの紹介で、
イラン人のイラジさんという人がやってきました。
物腰の柔らかな人で仕事は出来そうで、
私はすぐに気に入りました。
後で奥さんが二人の女の子を連れてやって来ましたが、
その子達も躾がよくて良い子供達でした。

デンマークではお互いに名を呼ぶ時は、敬称は使いません。
でもイラジさんの場合は、
日本語の呼び捨てのような感じがして
そのままでは呼びにくかったです。
私には“虎二”とか“三治”とかいった日本名に聞こえるのでした。
デンマークでも日本人同士の時は
「さん」を付けて呼び合っていますから。
それで私も普段は「ヒロ」とだけ呼ばれます。
ただ一人私をヒロ以外の呼び方をしたのは、
黒装束の美少女の(第40回)イラン人イスタブラックだけです。
私を「チーフ!ちょっと、ちょっと」と、呼びつけました。
何回か“「ヒロ」と呼んでください”と言いましたが、
短い呼び名でも聴き慣れないと覚え難かったのかもしれません。

ついでにイスタブラックのことでは、
後で知ったことがあるので彼女の名誉のために付け加えます。
「お釣を三度に一度は間違える」と、私は書きましたが
それが分かったのは、
他のスタッフに「これ、合ってる?」とその度に尋ねたからです。
間違えたままお釣を渡したということではありませんでした。
例えば妻が店に行くと、
お客さんを前にしたイスタブラックが、
支払いの段になってキョロキョロあたりを見回すのだそうです。
そこで誰でもいいから目が合うと嬉しそうに
「ちょっと、ちょっと」と呼んで
「ねえねえ、これ合ってる?」
と自分の計算を見せたのだそうです。

さてイラジは何でも出来る人だということでした。
例えばショウ・ウィンドーのガラスの交換も、
イラジさんはガラスを買ってきて、
1人で取り替えてしまうそうです。
初めての事でも何とかやってしまうそうです。
その時は失業していて高校の便利屋さんをやっていました。
長期失業者は10ヶ月のトレーニング、という名目で
高校の雑用の手助けをしていたのでした。
いじくってブロックしてしまったコンピューターを直したり、
ドアの修理をしたりと忙しいのでした。


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2005年1月14日(金)

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