前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第134回
出産率を高める朝三暮四

猿を集めて「朝に3つ夕方に4つ」木の実をあげると言ったら、
猿は怒って「朝に4つ夕方に3つ」と言ったら
喜んだという話ですね。

言葉や約束という、人間の抽象的な概念を解する猿なら、
“猿”とおとしめられてはいるけれど、それは人間だと思います。
人が人に与えると考えると、
福祉国家と国民の話か、経営者とサラリーマンとか、
企業と株主みたいな話にも聞こえます。
福祉国家でなくて、朝に全部貰える国だと、
工夫して増やそうが、何か他の欲しい物と交換しようが、
選択できます。
ただしコントロールする能力が無いとか、運悪く失敗した時は、
後が大変です。
そして世の中には、コントロールできない人は多いのですね。
そういう人には“朝三暮四”が良いではないか、ということで
福祉社会があるのかと思います。

福祉国家に当てはめると、
10は全て猿の作り出したものですが、
政府が使う人件費その他で、3つが消えていくのです。
残りは年金や社会保障を
“4つにするか3つにするか?”という程度の選択になります。
管理する方も経済観念がないと、これまた大変ですが、
自転車操業で何とか辻褄を合わせようとします。
脅威なのは、福祉社会では働かなくても何とかなるので、
怠け者が増えて出費が多過ぎて、自転車が倒れることです。
私の見た範囲では、福祉が行き届くと、
人間は良い方向にも悪い方向にも変わります。
そのうちの、怠け者や脱税者になる人を、
工夫して納税者にするか、又は目をつぶることになります。
全体主義ではないので、福祉社会向きでない人間といえども、
排除はしないのです。
そこで無駄も多いですが、今までは何とかやってきました。
しかし、税を払い慣れない国から来た外国人労働者や、
北欧でも逃れ癖のある地方などが、
国家予算の回転を苦しくしています。
それでも経済成長がありさえすれば、
今まではなんとか辻褄を合わせることは出来ました。

もうひとつの脅威は、
出生率が下がって寿命が延びて、その上納税者が減って、
税の負担に耐えられなくなることです。
デンマークでは一旦下がった出生率が、
10年前と比べるとかなり上がってきていて、
今も上がり続ける傾向にあります。
12月の新聞記事には、産児休暇の延長など
“職場が子供のいる家庭へ考慮するようになったからだ”
との分析が載っていました。
3ヶ月に1度の児童手当もかなり出るし、
万一・・・ではなくて3つに2つの離婚になっても、
女性も子供も暮らしていけます。
これからも何とか工夫して高福祉を維持していけるのでしょうか?


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2005年1月19日(水)

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