前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第201回
死んでも死に切れんベートーベン

ナチスに追われた1人のユダヤ人が、
デンマーク人の医者の手引きで、教会に匿われました。
そして、さらに難を逃れて、
スウェーデンから海外に亡命していきました。
デンマークから脱出する時に、
そのユダヤ人はデンマーク人の医者へのお礼にと、
1つの物を置いていきました。
彼は音楽家のベートーベンの弟子をしていた人でした。
ベートーベンは死に際に1つの遺言を遺しました。
それは
「私が死んだら身体を解剖して、
私の病気が何だったのか調べて下さい」というものでした。
死因と、周りに迷惑をかけた原因を解明して、
世間に知らせて欲しいということだったのです。
晩年のベートーベンは身体のあちこちに痛みがあり、
絶えず何かの病気に罹っていました。
耳が聞こえなくなったのは有名ですね。
それで、破産するほどの薬を主治医から買って飲んでいたようです。

ベートーベンは突然の激しい怒りに襲われて、
周囲の人々からは恐れられ、変人と思われていました。
ベートーベン自身は、自分は変人ではなくて、
何か病気に罹っていると信じていたので、
その誤解を解きたかったのでした。
しかし、解剖結果、
肝臓や腎臓の萎縮を初め色々な病症が見られましたが、
怒りの直接の原因は見つからなかったようです。
ベートーベンの死んだ後で、
ユダヤ人のお弟子さんが先生の髪の毛を切って、とって置きました。
それがデンマーク人の医者が貰った贈り物でした。
彼は1994年に、その髪の毛を競売に出しました。
そして、ベートーベン愛好家に買われたその髪が、
現代のアメリカの施設で検査されて、異常なものが見つかりました。
鉛の含有量が普通人の100倍程も有ったのでした。
それで耳が聞こえなくなったことや、
突然の怒りの発作の説明がつくそうです。
ただし、それがベートーベンの直接の死因とは断定できないし、
鉛がどうしてそんなに溜まったのかは、憶測するしかないそうです。
主治医の薬とか温泉を沢山飲んだ、という事実はあるそうですが。
ベートーベンが立証してみせたかった周囲の人は、
とっくに死んでしまいましたが、
やっと彼が正しかったのは証明されました。

このニュースを知って、金山で働いていた人が、
自分の症状がベートーベンとまったく同じだったので、
驚いたそうです。
耳が聞こえなくなって、異常に怒りっぽくなったのだそうです
彼の場合は、金山で長期間にわたって鉛の蒸気を吸ったのが、
鉛中毒の原因だそうです。


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2005年4月22日(金)

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