前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第256回
法律が法律違反している時

Qさんは、法的に外国居住者の条件を満たしているにも係わらず
余分な税を追加された、とうかがいました。
税務署員に言わせると
「日本での収入が多すぎる」のだそうです。
日本では法律が有っても、
どうも税務署員の裁量で
法を無視した徴税が行なわれているような感じです。
法律通り節税しても、不法な徴税では、
順法の誉れ高い(?)日本人も
「脱税して恥じることなし」と、なるのではないでしょうか。
担当員の考えで法律が曲げられるのですから、
日本はやはり近代的な法治国家とは言えません。
日本では、法に忠実なはずの裁判所でさえ、
マスコミや世論に影響されて判決が曲げられたりしたようですが。

法律なんて頭で考えたことですから、
実際には都合の悪いことが起り、改正も必要になり、
どんどん法律が増えてはいきます。
それでいて人間社会の秩序には欠かせないということで、
「悪法も法だ」とソクラテスも言って、
順法して死んでいったそうです。
悪法で死にたくはありませんが、
法を勝手に曲げて使う習慣は確かに大変危ないのです。
それから大分かかりましたが、
決めたことには表立って違反し難い自己規範ができ
ヨーロッパ人の間に育ちました。
法治主義の伝統です。

時々デンマークでは、
国のやったことでも個人が違法と訴えて勝訴になり、
話題になることがあります。
デンマークの裁判所ではダメだったら、
今ではEUにも法律違反を訴えることが出来きます。
何年も続いていた収入の1%の労働市場税を違法として、
一個人が提訴しました。
それがEUの裁定で、
デンマークの法律の方が違反、との判決がでたことがあります。

国の誤った法律を一個人が提訴してひっくり返すことは、
話題にはなりますが、そんなに難しいことではないのです。
もっとも、税務署はその後税の内容を変えて合法にして、
裁判で失った1%を形を少し代えて取り戻しました。


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2005年7月8日(金)

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