ならばお互いに相矛盾する政策になるかもしれないが、お金を使えば、税金を負けてやるという税法はどうだろうか。たとえば、家を買えば(セカンド・ハウスであろうと)それに要した銀行利息は経費として所得から控除するというのもその一つである。また家を売って損失が生じた場合、(これまでこういうケースを日本の税法は想定していなかったが)損金は三年とか五年にわたって所得から控除できるようにするのも、不動産の流動性を高めることになる。さらにまた家や土地を処分して、もっと高価な物件に買い換えた場合、その差額に圧縮記帳を認めることも流動性を高める効果があるだろう。
いちばんいけないのは凍結されたまま身動きができないことであって、不動産の売買はそれによって誰がトクをしようと、動きさえすれば税収はふえる。だから税率は低くして、売買をふやすのが国としても商売上手だということになろう。
デフレになって日本国中で頭をかかえるよりも、地価も株価も金利も高めに誘導したほうが問題の解決に役立つと私は主張しつづけてきた。この考え方に賛成できない人でも、建ぺい率を上げて土地の有効利用を促すことにまでは反対しないだろう。
政府としては一文もかからないことだが、建ぺい率を倍にしただけで、面積当りのマンションに占める土地の代金は半分に下がる。ただでさえマンションの安くなっているときだが、マンションの値段が土地が安くなったことによって三分の一も下がれば、もっと広い家に移りたいという人はふえるだろう。そういう動きが出てくることが経済の活性化につながっていくのは明らかである。
所得税を下げるのも悪いことではないが、無条件に下げるよりは、お金を使ったら下げるというキメの細かい配慮が必要である。せっかく所得税を下げても、使われずに貯蓄にまわされたのでは内需を拡大するという至上命題の実現に役立たないからだ。
そういう意味ではサラリーマンにも必要経費を認めて、領収書の提出を条件に税金を負けてやれば確実に効果がある。しかし、サラリーマンの必要経費をいまさら取り上げても仕方がない。いままでどおり概算控除でいいじゃないかというのなら、法人にお金を使わせてはどうだろうか。
どこの会社もいまはリストラのさなかで交際費どころの騒ぎでないが、お金の余裕のある会社もまだまだあるし、げんに税金を払って交際費を使っているところもある。そういう法人に一定の交際費のワクを新設して、従来のようにワクの範囲におさめたら経費として認めるというのではなくて、そのワクまで経費を使わなかったら、使わなかった分は税金として召し上げるのである。つまりお金を使ったら税金をとるのではなくて、使わなかったら税金をとるのである。
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