その新入杜員は糞マジメ男だったので、広告会社の玄関口で件の社員が出てくるのを待ち伏せた。
「今日はどうしても返してください」
「今日は金はないよ」
「じゃ、金を返してくださるまでついて行きます」
「冗談じゃない。今日はこれから同僚とマージャンをやりに行くところだ」
「じゃ、マージャンをおやりになっているあいだ、私はそばで待っています」
麻雀屋までついて行って、マージャンをやっているあいだ中、じっとそばで見ていた。幸いにも、その社員がマージャンで大勝したので、
「じや、払ってやるよ」
といって、勝金をもらって帰ってきたそうである。
以上を見てもわかるように、サラ金で金を借りる連中の中には、もともと「悪意の借手」か「金にだらしのない奴」がまじっている。そういうのを相手にしなければ、商売にならないところに、この商売の難しさがあるのである。
高利貸も同じで、放漫経営だったり、時世に合わない商売だったりして資金にショートをきたした経営者に金を貸すのだから、紳士的に振舞っていたのでは自分のほうが資金をこげつかせて倒産してしまう。だから高利貸をやるような人は、暴力団とつながりがあったり、自分自身が暴力団であったりする。
貸した金を約束通りに返してもらえなければ、法律以外のもっと効果的な手段に訴えがちである。
したがって、いったん高利貸に手形を渡すようなことをやってしまったら、あとは麻薬に手を出したようなもので、行きつくところまで行ってしまわなければ終わりにならない。
もとはといえば、「手形」という安易な支払い手段があるからなので、倒産したくないと思うならば、「手形」を切らないですむ商売でも考えるよりほかないのである。
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